小林化工 承認申請時の不適切行為発覚問題で「業務改善計画」を厚労省に提出 研開本部の責任者交代
公開日時 2021/05/28 18:30
小林化工は5月28日、承認申請に関する不適切行為が発覚し、厚労省が4月28日付で当該12品目の製造販売承認を取り消す行政処分を下した問題で、同社の是正措置および再発防止策を明記した「業務改善計画」を同省に提出した。改善計画では、研究開発本部の責任者を交代させるほか、法令遵守を最優先とした研究開発活動を実現するための体制構築に努める方針を明示した。また、薬機法、GCP省令、治験薬GMPを遵守した研究開発業務を確実に実施できるよう文書体系を見直し、それに伴い、基準書やSOPを改訂または新設するとした。
この問題は、小林化工の抗真菌薬・イトラコナゾールに睡眠薬が混入し、健康被害が出たことをきっかけに、弁護士などからなる特別調査委員会による調査で、新たに「研究開発部門」での不正が発覚したというもの。承認申請に関する不適切行為が発覚したのは、ロラタジンODフィルム10mg「KN」など12品目に及ぶ。重大な不適切行為は、①承認申請用の安定性試験について、安定性試験の実施日、分析法バリデーションの実施日等を改ざんした、②承認申請書の記載とは異なる方法で製造された製剤で、承認申請用の安定性試験を行っていた―というもの。
厚労省は4月28日付で該当する12品目の製造販売承認を取り消す行政処分を下したほか、小林化工に5月28日までに是正措置及び再発防止策に係る改善計画を策定し、提出するよう求めていた。
◎全ての研究開発活動に対して法令遵守を最優先とする風土を醸成
厚労省に提出した業務改善計画では、問題となった研究開発部門について、「責任者の交代」を提示。研究開発業務に対する信頼性保証、生物学的同等性試験の実施組織の見直し、治験薬等の管理強化を実施する。新たに設置したコンプライアンス推進室と連携し、役職員に対して法令遵守を徹底させ、全ての研究開発活動に対して法令遵守を最優先とする風土を醸成するとした。さらに、研究開発本部に所属する全ての役職員について、責任と役割を明確化する。
研究開発業務については、薬機法、GCP省令、治験薬GMPを遵守した研究開発業務を確実に実施できるように文書体系を見直す。それに伴い基準書やSOPを改訂または新設する。
役職員への教育訓練では、とくに、治験のモニタリング実施者、治験薬の製造実施者にGCP 及び治験薬GMPの教育を実施。習熟度の評価のあり方をあらかじめ構築した上で、受講者の習熟度を評価し、基準を満たさないものには再教育を実施するなどの対策を講じる。
◎開発プロジェクトのマネジメント機能強化
開発プロジェクトに対するマネジメント強化も明示した。開発の遅延等を早期に見つけ、適切な対策を講じることで不適切な行為につながる要素を取り除くというもの。適切な製品開発の進捗管理の下で、開発継続の可否判断や研究資源の追加投入等の意識決定を行う体制を整備する。改ざん防止策の強化では、日付改ざんを防止するため、データインテグリティ強化のシステム構築及び試験検体の出入庫管理を強化する。
◎過剰な自前主義の撤廃および外部委託の実施
過剰な自前主義の撤廃を目的に、業務量に応じた適切な対応を行うため、外部委託を適時実施する。外部委託する場合には、外部委託先のシステム監査や成果物に対する監査等を行い、委託先での成果物について社内と同レベルの信頼性を確保する方針を明示した。
なお、同社は21年2月9日付の福井県による業務改善命令に基づき3月10日付で福井県に業務改善計画を提出している。小林化工は今回の業務改善計画の提出に際し、「本業務改善計画の確実な実行を通じ、全役職員の一人一人が、法令遵守の徹底を図り、再発防止と業務改善に真摯に取り組むことで、皆様からの信頼の回復に誠心誠意努める」とコメントしている。