キッセイ薬品 21年3月期決算 ベオーバなど注力品が業績伸長も売上原価率の上昇で営業減益
公開日時 2021/05/12 04:50
キッセイ薬品は5月11日、2021年3月期決算を発表し、売上収益は前年同期比9.2%増の690億4400万円、営業利益は前年同期比19%減の15億500万円となり、増収・営業減益となった。過活動膀胱治療薬・ベオーバや腎性貧血治療薬・ダルベポエチンアルファBSなどが大きく伸長し、増収に寄与した。一方で新型コロナの感染拡大に伴いMRの情報提供活動が制限された影響などで販管費や研究開発費がいずれも減少したものの、増収品目の多くが導入品であることから売上原価率が上昇し、2桁の営業減益となった。なお、原価率は52.6%で、前年同期の44.8%から7.8ポイント悪化した。
業績を牽引したベオーバは製造販売元の杏林製薬と共同販売しており、売上は前年同期比120.5%増の70億2400万円となった。一方、ダルベポエチンアルファBSは製造販売元のJCRファーマが製造し、キッセイ薬品が販売している。こちらも前年同期比501.0%増の48億8300万円を売上げた。いずれの製品とも想定を大幅に上回る市場からの引き合いで出荷調整を経験した。このうちベオーバについては、杏林製薬とともに増産体制を構築する方針が示された。一方、利益については、増収に加え販売費及び一般管理費が前期比5.5%減少したものの、売上原価率が7.8ポイント上昇したことで、営業利益は減益となった。
22年3月期の業績予想は、売上高が前年同期比8%減の635億円を見込む。主力品のベオーバ(18.2%増)、高リン血症治療薬・ピートル(12.1%増)、ミニリンメルト(15.5%増)などの育成により売上伸長を期待するものの、21年4月に実施した薬価改定の影響などを踏まえて、減収を見込んだ。
【20年度連結業績 (前年同期比) 21年度予想(前年同期比)】
売上高 690億4400万円(9.2%増) 635億円(8.0%減)
営業利益 15億500万円(19.0%減) -26億円(—)
経常利益 34億7600万円(43.1%増) -13億円(—)
親会社帰属純利益 52億8500万円(87.6%増) 33億円(37.6%減)
【20年度の国内主要製品売上(前年同期実績) 21年度予想、億円】
ベオーバ 70(31)83
ミニリンメルト他 34(—)40
ユリーフ 36(58)29
ピートル 58(57)66
ダルベポエチンアルファBS 48(8)35
エポエチンアルファBS 44(55)29
グルベス 43(45)40
グルファスト 11(14)10
マリゼブ 15(—)17
サラジェン 15(16)14
レクタブル 7(7)8
注)1億円未満切捨て