第一三共 新型コロナ治療薬候補ナファモスタット吸入製剤 国内第1相臨床試験を開始
公開日時 2021/03/31 04:50
第一三共は3月30日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発中の蛋白分解酵素阻害薬・ナファモスタット吸入製剤(開発コード:DS-2319)について、国内第1相臨床試験を開始したと発表した。20歳以上45歳以下の男性の日本人健康成人76例を組み入れる予定で、単回及び反復吸入投与時の安全性、忍容性、薬物動態を評価する。同試験は3月1日から12月31日まで実施する予定。
同剤は、ナファモスタットメシル酸塩を吸入製剤化した薬剤で、COVID-19の原因ウイルスの外膜と感染する細胞の細胞膜との融合を阻害することにより治療効果が期待できるという。ナファモスタットは急性膵炎や播種性血管内凝固症候群などの治療薬として国内で長く処方されており、先発品名は注射用フサン(製造販売元:日医工)で、後発品もある。第一三共は、「安全性については十分な臨床データが蓄積されている注射剤」としている。
COVID-19を対象疾患としたナファモスタット吸入製剤の研究開発は第一三共、東京大学、理化学研究所、日医工――の4者が共同で実施している。2020年6月に共同研究開発の基本合意に至ったことが発表され、非臨床試験が行われていた。今回開始した第1相臨床試験は4者による共同研究開発の延長線上の取り組みで、第一三共が主導する。