アステラス製薬 AI・統計学で医薬品価値を最大化 同志社大、和歌山県立医科大と共同研究
公開日時 2021/03/29 04:50
アステラス製薬は3月26日、AIや統計学を活用した医薬品価値の最大化を目指して、同志社大学および和歌山県立医科大学それぞれと共同研究契約を締結したと発表した。2つの共同研究はいずれもビッグデータに基づく統計モデルおよびシミュレーションを活用し、▽医薬品開発における意思決定の最適化▽治療効果の最大化――を目指すもの。アステラスは2つの共同研究を統合的に進めて医薬品価値の最大化につなげる。
アステラスは医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+)の創出に戦略的に取り組んでいる。
アステラスは同志社大の文化情報学部統計科学研究室と、「意思決定のための統計モデリングに関する共同研究」を行う。医薬品の研究開発には、対象疾患の選択や臨床試験デザインなど多くの選択が伴う。そこで、データに基づき、統計モデル・シミュレーション技術によって多様な選択肢の長所と短所を評価し、医薬品開発の意思決定の加速および最適化を目指す。
和歌山県立医科大大学院医学研究科医療データサイエンス学教室とは、「治療効果の統計学的推定に関する共同研究」を行う。患者の状態に合わせて医薬品の効果を予測できれば、適切な医薬品を選択することが可能になり、治療効果の向上と医療コストの削減につながる。そこで、リアルワールドデータに基づき、治療効果を推測する統計的手法を開発し、患者ごとに治療プロセスを最適化するための医学統計情報基盤の構築を目指す。
アステラスは、「2つの共同研究で得られるシミュレーションの結果やノウハウが相互に活用されることによって、より確度の高い推定に基づいた意思決定が可能となるなどの相乗効果が期待される」としている。