大日本住友製薬 抗がん剤ナパブカシンの臨床試験中止で減損損失269億円計上
公開日時 2021/03/08 04:50
大日本住友製薬は3月5日、開発中の抗がん剤ナパブカシンについて、現在実施中の臨床第1相試験および第2相試験を全て中止すると発表した。結腸・直腸がんを対象とした国際共同臨床第3相試験の解析結果において主要評価項目を達成しなかったことを受けたもの。これに伴い2021年3月期業績において、同剤の仕掛研究開発を全額減損し、減損損失を 269 億円(2億5400万米ドル)計上する。
抗がん剤ナパブカシンをめぐって同社は、がん領域の成長ドライバーとして期待を寄せていた。ただ、2019年には膵がん適応で有効性を示すことができず、膵がんでの開発中止を決定。また今年2月9日付で、結腸・直腸がんを対象とした国際共同第3相臨床試験の主要評価項目で全集団及びpSTAT3陽性集団における全生存期間(OS)が未達だったことを公表している。
同剤の開発中止に伴い175億円(1億6500万米ドル)の条件付対価公正価値変動額の戻入を計上する。今後の業績見通しは、2月12 日に公表した 21年3月期通期連結業績予想に織り込み済み。