薬食審・再生医療等製品部会 3番手のCAR-T細胞製品ブレヤンジの承認了承
公開日時 2021/02/18 04:50
厚生労働省の薬食審再生医療等製品・生物由来技術部会は2月17日、セルジーンが承認申請していたCAR-T細胞製品のブレヤンジ静注(一般名:リソカブタゲン マラルユーセル)の承認可否を審議し、承認することを了承した。通常、1か月程度で正式承認される。
■再発・難治の濾胞性リンパ腫にも使用可
CAR-T細胞製品としては、ノバルティスファーマのキムリア点滴静注(同チサゲンレクルユーセル)、第一三共のイエスカルタ点滴静注(一般名:アキシカブタゲン シロルユーセル)に続く3番手となる。
3製品で効能・効果は異なり、ブレヤンジには他の2剤にない「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」が含まれる。なお、キムリアにしかない効能・効果は、「急性リンパ芽球性白血病」となる。
細かく分類わけされる「再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫」の効能・効果に関しては、ブレヤンジが最も広くカバーしており、(1)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、(2)原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、(3)形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫、(4)高悪性度B細胞リンパ腫――で使用できる。イエスカルタは、これら4つのうち(3)が「形質転換濾胞性リンパ腫」を適応としており、ブレヤンジに比べてカバー範囲が若干狭い。キムリアは(2)を持っていない。
3製品で投与方法が異なる。キムリアとイエスカルタはバック製剤をそのまま点滴静注して用いる。これに対してブレヤンジは、CAR発現生T細胞としてCD8陽性細胞とCD4陽性細胞のそれぞれのバイアルに分かれていて、CD8陽性細胞とCD4陽性細胞の細胞数が1対1になるよう、CD8陽性細胞を静脈内投与した後にCD4陽性細胞を静脈内投与して用いる。余った細胞は廃棄する。
【審議品目】(カッコ内は一般的名称、申請企業)
▽ブレヤンジ静注(一般名:リソカブタゲン マラルユーセル、セルジーン):「以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫)、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を効能・効果とする再生医療等製品。希少疾病用再生医療等製品。再審査期間は10年。
正常なB細胞の発生時に細胞表面に発現し、B細胞が悪性化した後も維持される CD19 を標的として設計されたCAR-T細胞製品。CAR-T細胞製品は、患者のT細胞を用いて免疫機能に作用するがん免疫療法のひとつで、従来の医薬品とは異なり、患者ごとに個別に製造する。CAR-T細胞製品の製造工程では、患者から取り出したT細胞の遺伝子を改変しキメラ抗原受容体(CAR)を発現させた細胞を作る。この改変T細胞を患者体内に注入して用いることで、標的とするがん細胞を攻撃できるようにする。
ブレヤンジは患者末梢血由来のCD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞に、遺伝子組換えレンチウイルスベクターを用いてCD19を特異的に認識するCARを導入し培養・増殖させた各T細胞から構成されたもの。投与方法は、前処置などをしたうえで、通常、成人にはCAR発現生T細胞としてCD8陽性細胞及びCD4陽性細胞を、合計細胞数が体重を問わず100×10⁶個を目標に、CD8陽性細胞及びCD4陽性細胞の細胞数の比が1となるよう、CD8陽性細胞を静脈内投与した後にCD4陽性細胞を静脈内投与して用いる。余った細胞は廃棄する。
承認条件として、適切な医療施設、十分な知識と経験を持つ医師のもとで同製品を使用することと、全例調査を実施して適正使用に必要な措置を講じることがついた。
海外では、米国で2021年に承認された。