クレコンメディカルアセスメント株式会社取締役最高業務責任者（COO）小林慎マルコフモデルによるコホートシミュレーションができれば、長期的な費用やQALYを計算することは難しくありません。今回はマルコフモデルを使った長期的な医療費やアウトカムの推計方法を紹介します。マルコフモデルによるコホートシミュレーションマルコフモデルを使って費用効果分析を行うためには、まず定義したマルコフステーツ（状態）の間を患者が移動していく様子をシミュレーションにより推計することが必要です。このとき、一般的に特定の集団（コホート）が一定の時間間隔（マルコフサイクル）で各状態へ分散していく様子をシミュレーションする方法（コホートシミュレーション）が用いられます。図１の左側に示した状態推移図を使ったコホートシミュレーショ...