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厚労省 紹介状なしで大病院を受診した際の定額負担増額を提案 社保審医療保険部会

公開日時 2020/11/20 04:51
厚生労働省は11月19日、社会保障審議会医療保険部会に、紹介状なしで大病院を受診した際の定額負担を増額することを提案した。厚労省は外来機能分化を推進する観点から、紹介状なしで大病院を受診する患者の初・再診料を保険給付から外し、それに相当する以上の金額に患者の定額負担を増やすことを提案した。現在、選定療養の対象となっている定額負担を徴取する病院も、200床以上の専門的な外来を行う地域基幹病院まで拡大することを提案した。

現行制度では、紹介状を持たずに大病院を受診した際には、初・再診料のほか5000円の定額負担を払うこととされている。厚労省が新たな制度案の例として、初診料(288点)相当の2000円、再診料(55点)相当の500円を控除し、同額以上に定額負担を増額するものを例示した。医療保険からの負担も軽減されることとなる。

紹介状なしに大病院を受診した際の定額負担は、大病院に患者が集中することを是正する目的で、2016年度診療報酬改定で特定機能病院と500床以上の地域医療支援病院に導入。18年度、20年度改定で対象を拡大し、現行制度では200床以上の地域医療支援病院までが対象範囲となっている。昨年末の全世代型社会保障検討会議では、「大病院・中小病院・診療所の外来機能の明確化を行いつつ、それを踏まえ対象病院を病床数200床以上の一般病院に拡大する」ことが盛り込まれた。厚労省はこれを200床以上の一般病院のうち、地域基幹病院まで拡大することも提案した。

◎「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)を想定

具体的には、「「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)を地域で基幹的に担う病院」とした。「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)については厚労省の別の検討会で検討が進められているが、①医療資源を重点的に活用する入院前後、②高額医療機器・設備を必要とする、③特定の領域に特化した機能を有する―が要件にあがっている。こうした要件を満たす医療機関では、「紹介患者への外来医療を基本として状態が落ち着いたら逆紹介により最新患者を地域に戻す役割を担う」としており、患者が紹介されて受診されることを基本としていると説明した。

松原謙二委員(日本医師会副会長)は、「初診料を給付していないという形になる。保険の仕組み上おかしな仕組みであり、認めることはできない」と述べた。秋山智弥委員(日本看護協会副会長)も、「衝撃的。病院の収入が減らないからいいというわけではない」と述べた。一方で、藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)は、「かかりつけ医機能の強化の方向性に取っているので賛成する。ぜひ確実に実施していただきたい」と述べた。

◎後期高齢者の2割負担 5つの選択肢を提示

後期高齢者の医療費の窓口負担をめぐって厚労省は、2割に引き上げる対象について、「介護保険の2割負担の対象者の割合(上位20%)と同等」など、5つの「機械的な選択肢」を示した。

後期高齢者の医療費の窓口負担は現役並み所得の人を除き、原則1割となっている。示された線引きのうち、対象を最も絞った場合が「介護保険の2割負担の対象者の割合(上位20%)と同等(本人課税所得64万円以上、本人収入240万以上)」で上位20%の対象者数は約200万人。窓口負担を2割に引き上げることで、現役世代の負担を年間470億円削減できるとの試算も提示した。

一方で、最も対象が広い「本人住民税の負担能力が認められる水準」(本人所得35万円超、本人収入155万円以上)は上位44%が対象で、対象者数は約605万人。現役世代の負担を年間1430億円削減できるとしている。このほか、▽現行2割負担である70~74歳の平均収入額(約218万円)を上回る水準(上位25%、約285万人)、▽平均的な収入で算定した年金額(単身:187万円)を上回る水準(上位30%、約370万人)、▽本人に課税の対象となる所得がある水準(上位38%、約520万人)―。

厚労省は、2割に引き上げた際に、外来受診の負担増加額が最大で4500円となるよう配慮措置を行うことも提案した。75歳以上の高齢者は95%が外来を受診しており、半数近くが毎月診療を受けているため、急激な負担増を抑制することが必要では、との考えを示した。

健保連など保険者は、現役世代のツケ回しを防ぐためにも、「2022年度までに、低所得者の方を除いた上で、高額療養費の一般区分該当者すべて(約53%)に2割負担を導入」するべきと主張しており、厚労省案にこの区分を選択肢に加えるよう主張した。藤原弘之委員(日本経済団体連が負う回社会保障試飲会医療・介護改革部会長)も、「制度の持続可能性に最大限効果を発揮する改革を実現すべきだ。一般区分を2割の引上げ対象とすべき」と主張した。

一方で、松原委員(日本医師会副会長)は、介護報酬の上位2割の本人年収は日医の推計では280万円だとしてさらに限定的な対象を求めた。また、社会保障税一体改革のなかで実施された消費増税について、「医療・介護の安定のためと約束があったはず」と指摘。人生100年時代のなかで、「社会不安を起こすようなことはいけないと思う」などと述べた。このほか、新型コロナの影響が大きいなかでの制度改正を実施することに慎重な意見も聞かれた。
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