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領域や製品ごとにチャネルの最適化を検討 CMRは代替機能+付加価値で価値向上へ

ポストコロナのMR活動のあり方とCSOに求められる役割

公開日時 2020/09/30 00:00
提供:シミック・アッシュフィールド株式会社

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を機に、デジタルやリモートを活用した新しいMR活動の模索が始まっている。こうした環境変化のなかでMRによる情報提供のあり方や、CSOに求められる役割も大きく変わっていきそうだ。本誌編集長とシミック・アッシュフィールド株式会社社長執行役員の木﨑弘氏が、MR、そしてCSOの未来を熱く語り合った。
対面とデジタルの組み合わせ
医師のニーズ等に沿って選択
 沼田 COVID-19の影響でMRによるFace to Face (以下、F to F)のディテーリングがままならない状況が続いている。そのなかでリモートディテーリングやデジタル活用が急速に広がっているが、この状況をどう見ているか。

木﨑 Web会議システムやアポイントやメールなど、様々なチャネルが使われるようになり、MRの顔色も急に変わってきた印象だ。ただ、こうしたデジタル化の推進は医師の働き方改革が議論された段階から浮上していたもので、これからの情報提供活動を考える上で避けては通れなかった課題と言える。それが今回の新型コロナで一気に噴き出し、リモートやデジタルでのプロモーションを真剣に検討せざるを得なくなった。しかし、一方で情報の受け手側である医師や薬剤師のリモート面談に対する理解は進んでいないように感じる。いま、MRはそこに苦しんでいるのではないか。

沼田 製薬企業も自社のMRにリモート面談やデジタルツールの活用でトレーニングを行い、現場でのアプローチを試みているが、実際に対応できているMRはまだ少ない。この辺は非常に悩ましいところだ。

木﨑 当社の親会社の一つであるAshfield社は、COVID-19の感染が拡大した4~5月の対面・非対面による情報提供回数について、欧州(イギリス、ドイツ)、アメリカ、日本の各医師に調査を行った()。結果をみると、いずれの国も極端に対面での情報提供が減っている。日本は対面が8割弱を占めるが、すでにイギリスなど欧州は対面と非対面が半々となっていた。一方、ポストコロナの予測をみると、各国とも非対面の比率が若干上がったものの、だいたいコロナ以前の傾向に戻っている。この結果から、とくに日本ではリモート面談やアポイントメールが急に増えたことにストレスを感じた医師が多かったのではないか。



沼田 私の取材でも、MRとのリモート面談をすでに経験した医師も増えている。ここ数カ月、医師のマインドに変化が起きているようだ。国によるオンライン診療の時限的・特例的な解禁しかり、学会や病院内の打ち合わせもリモートで実施するケースが増えた。もしかしたらこれがニューノーマルではないかというイメージを持っている。

木﨑 ここは多分、議論が分かれるところだ。リモート環境が整備され、それを抵抗なく受け入れる医師は、若手を中心にいるだろうが、F to Fが減ったことに対して不満を抱く医師も少なくない。むしろ、あたり前だったMRという情報入手チャネルの価値が再認識される機会になったという見方もできる。

新たなMR活動のあり方を考えるうえで、F to Fかリモートかの二元論は適切ではない。受け手である個々の医師のニーズに沿って、どのチャネルをどのように駆使してプロモーション活動を行っていくかが、それぞれの製薬企業に求められている。例えば、スペシャリティ領域に注力する企業は多いが、まだまだSOVでプライマリ領域の情報を先生方に届けないといけないという部分も残っている。

沼田 2000年代前半のプライマリ市場中心だった時代に比べると、MR 活動は確かに多様化してきた。訪問先が限られるスペシャリティ領域の場合、ピンポイントできちんとターゲットの医師に情報を届けられるようなスキームをつくっていく必要があり、そうなると「e+MR」というような形にならざるを得ないと思う。F to Fかリモートかの二元論ではないという意見は同感だ。

木﨑 医師とのコミュニケーションの取り方でF to Fが一番強いのは間違いない。ただし、今後はリモートやメールなど非対面のツールを使ってどれだけスマートにコミュニケーションを図れるかで、MRとしての差が出てくる。当社の約600名のMRを対象にリモートディテーリングのトレーニングを開始する。我々CSOは、製薬企業のビジネスパートナーとしての責務を将来にわたり担えるかが問われている。こうしたトレーニングも企業に先んじて取り組んでいく必要があると考えている。
様々な価値生み出すコントラクトMR
沼田 私は2011年の日本CSO 協会設立時から関わってきたが、当時掲げた理想と現実にはかなりの乖離がある。やむを得ない面もあるが、近年はMRの欠員補充的な役回りに甘んじている。MR活動の多様化が進むなか、CSOが果たす本来の役割をどのようにお考えか。

木﨑 製薬企業の置かれている状況を考えると、次々と革新的な新薬の開発が求められる一方で、度重なる薬価制度改革により長期収載品では収益を生み出せない。そんな中でMRを終身雇用で40年近く雇い続けるのは大きなリスクだ。すべてのビジネスに共有する課題でもあるが、MRを自前ですべて雇用する時代は終焉を迎えつつある。むしろ製品のパイプラインに合わせて人材のポートフォリオをマネジメントしていくことが求められる時代になった。そうなるとわれわれCSOにとっては好機だ。

日本のコントラクトMR(CMR)の比率はMR全体の5~6%。海外はすでに10~20%のシェアがあり、雇用調整が容易なアメリカの製薬企業でも10~15%をアウトソーシングしている。日本でCMRが活用されてこなかったのは、企業カルチャーや自社のMRのほうが使いやすいなどいろいろな理由がある。もしくはCSOの努力不足で製薬企業の期待に応えられていないことも一因かもしれない。業界全体としてスペシャリティ、プライマリ、いずれの領域でも期待に応えられるだけのCMRを育成していかなければならないと考えている。

沼田 例えば、プライマリ領域の長期収載品はCMRに任せてそこでしっかりパフォーマンスを出してもらう。代わりに企業のMRはスペシャリティ領域に特化していくという役割分担もできるのではないか。

木﨑 CMRは複数企業への派遣を通して様々な領域を経験し、なおかつ地域に固定化しやすいことから、地域特性やゼネラルな製品知識などプライマリの医師とのコミュニケーションで求められる能力要件が揃えやすい。地域に根付くこともMRの価値を高めると考えており、おっしゃられたような任務は十分可能だと思う。

実は当社の名刺でCMRが複数企業の非競合領域の製品を担当するシンジケート・セールス・フォースという形態のプロジェクトを2年前から始めている。3社の製品をプロモーションしていくというモデルだが、地域に強いMRを配属させたところ、非常に好評である。地域密着型のプロモーションはCSOに任せていただくことが、製薬企業の1つの選択肢になりうるよう努めていきたい。

沼田 地域に根付いたCMRの育成・運用は非常に大きな強みだと思う。さらにリモートの活用で今はエリア外に勤務している医師を本社経由ではなくMR自身がコーディネートしてネットワーク化していくこともできる。そういうビジネス形態が出てきたら面白い。

木﨑 それをやるにはMR個人の知的資産の棚卸しが必要になるが、企業に対して大きな価値を提供できるだろう。知的資産を活用していくMRのノウハウそのものが大きな武器になるということだ。

当社は北海道から沖縄までどの地域に何人のCMRがいるかをリスト化している。派遣先企業との守秘義務があるので活動内容の情報共有は難しいが、医薬品卸の状況や訪問規制の厳しい医療機関、専門医のネットワークなどの情報共有でエリアの仲間を支援しやすい環境にある。そこがCSOとしての強みであり、各地域で積み上げた知的資産を有効活用してさらにMR1人ひとりの価値につなげていくことが、われわれの今後の課題だ。

沼田 製薬企業の期待に応えるために現在、どのようなことに取り組んでいるか。シミック・アッシュフィールドのアピールポイントを含めて最後にお話しいただきたい。

木﨑 当社の価値は「人財」ですべて決まると考えており、我々のMRがその地域・領域で強いと評価されるために常にトレーニングを積んでいくことが重要である。地域で強みを生かせるゼネラルなMRを育成する一方で、専門領域にも注力しており、オンコロジー領域の専門MRの社内認定制度をつくり、2018年からeラーニングや集合研修を実施している。この2年間で延べ632人がエントリーし、最終的に専門医の口頭試験をパスしたゴールド認定が24名、その手前の全研修修了者は86名のみ。非常にレベルが高く厳しい制度であるが、企業の期待に応えるだけの準備だけは欠かさずにしておきたいという思いからの取り組みだ。そのほかプレゼンテーションやロジカルシンキングなどベーシックな研修も数多く実施しており、日々研鑽に努めている。

クライアントから欠員補充のオーダーが来たから右から左へ人を流せばいいというビジネスでは信頼を勝ち取れない。アウトソーシング比率が欧米並みの10~20%になった時に、それに応えるだけの信頼と品質を担保し、さらにその先を牽引できるようにしていきたい。


シミック・アッシュフィールド株式会社
〒105-0023 東京都港区芝浦1-1-1
浜松町ビルディング
Tel:03-6779-8141
E-Mail:info-cmicashfield@cmic.co.jp
URL: www.cmic-ashfield.com
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