中外製薬とNTTデータ AI技術活用した治験関連文書の作成効率化ソリューションで実証実験
公開日時 2020/09/10 04:50
中外製薬とNTTデータは9月9日、AI技術を活用した治験関連文書の作成効率化ソリューションの実証実験(20年1月~6月)を完了したと発表した。治験実施計画書から治験関連文書を作成するなど、文書作成に係るプロセスの効率化を目指すもの。中外製薬とNTTデータの両社は効率化ソリューションのコンセプト検証を行い、有用性の評価および今後のシステム課題を抽出した。NTTデータは 2021年度中に効率化ソリューションの商用サービス提供を目指す方針。
中外製薬は「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」の基本戦略の1つにバリューチェーンの効率化を掲げ、治験プロセスのさらなる加速を目指している。一方、NTTデータは、新薬の開発加速を支援するため、広範な治験プロセスを最先端のIT技術でつなぐ製薬企業・医療機関横断型の治験トータルソリューションプラットフォームの開発を進めている。
今回の実証実験は、高品質で効率的な治験関連文書作成の課題を解決するために必要な要件を特定し、臨床開発業務におけるデジタルトランスフォーメーションの実現を目指すというもの。各治験関連文書を連鎖的に自動生成するコンセプトの有用性の検証とそれを実現する技術要素について評価する。具体的には、中外製薬の治験実施計画書をインプットとし、本ソリューションのプロトタイプを用いて「同意説明文書」および「症例報告書(blank)」作成業務に要した時間と、過去同業務の実績を比較した。
効果検証により、①削減効果率は「同意説明文書」で平均61%、「症例報告書(blank)」で平均40%だった、② 両文書とも大部分が生成可能で、自動生成が難しいと予想される部分は想定通り削減効果率は低かった、③「症例報告書(blank)」では自動生成後に症例報告書に適した形にするためのマニュアル作業が発生し、削減効果率低下の一因となった-などが分かった。
NTTデータは、今回検証された技術要素を活用して治験関連文書の対象拡大、標準化テンプレートの提供、AIによるサジェスト機能、マルチ言語対応などの機能を効率化ソリューションへ順次実装していく計画。中外製薬も、臨床開発業務のデジタルトランスフォーメーションに向けてNTTデータと協働し、新薬開発の効率化に向けた仕組みづくりに貢献する考え。