安倍首相が辞任表明 持病の潰瘍性大腸炎が再発「大切な政治判断を誤ることはできない」
公開日時 2020/08/31 04:49
安倍晋三首相は8月28日の記者会見で、辞任の意向を表明した。持病の潰瘍性大腸炎が再発し、国民の負託に自信を持って答えられる状態でなくなったというのがその理由。会見で安倍首相は、「本年6月の定期健診で再発の兆候がみられたと指摘を受けた。その後もクスリを使いながら全力で職務にあてってきたが、7月中ごろから体調に異変を感じ、体力を消耗した」と説明した。その上で8月上旬に潰瘍性大腸炎の再発が確認されたことを明かし、「現在の薬剤に加えて新たな薬剤の投与を開始した。検診において投薬の効果が出ていることが分かったが、継続的な投与が必要で予断は許さない。政治において最も重要なことは結果をだすこと」と強調。「体力が万全でない中、大切な政治判断を誤ること、結果を出さないことがあってはならない。総理の地位にあり続けるべきでないと判断した。総理大臣の職を辞することとする」と述べた。
◎新型コロナの感染減少と今冬以降の対応策取りまとめ「このタイミングしかないと判断した」
安倍首相はまた、「現下の最大の課題であるコロナ対応に障害が生じることは出来る限り避けなければならない。この1か月程度その一心であった。悩みに悩んだが、足元において7月以降の感染拡大が減少傾向に転じたこと、そして冬を見据えて実施すべき対応策を取りまとめることができたことから、新体制に移行するのであれば、このタイミングしかないと判断した」と述べた。
安倍首相の在任期間は7年8か月。この間、社会保障と税の一体改革や、金融、財政、成長戦略の「3本の矢」を総称したアベノミクスなどに取り組んできた。働き方改革やAI・ビッグデータの利活用により生産性向上を実現する「Society5.0」なども進めてきたところ。医療、年金、介護などの社会保障制度については、高齢化のピークや人口減少社会時代の到来を控え、持続的・安定的制度を構築する全世代型社会保障改革の議論にも着手していた。