武田薬品 新型コロナ重症患者の臨床試験で1例目を登録 アッヴィ、アムジェンと
公開日時 2020/08/05 04:50
武田薬品は8月4日、アッヴィ、アムジェンと新型コロナウイルス感染症の重症入院患者を対象とした、I-SPY COVID臨床試験で1例目の患者を登録したと発表した。
I-SPY COVID 試験は、高流量酸素療法を必要とする 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症入院患者を対象に、CCケモカイン受容体2および5(CCR2/CCR5)拮抗薬のセニクリヴィロク(cenicriviroc)、 PDE4阻害薬のオテズラ(一般名アプレミラスト)、およびブラジキニンB2受容体拮抗薬のフィラジル(一般名イカチバント皮下注)の有効性の評価を行う試験。米国食品医薬品局(FDA)の連携下で抗ウイルス薬の開発を加速する目的で設立された協力体制で、世界トップのバイオ医薬品企業とライフサイエンス企業 20 社以上が参画している。
オテズラは、経口ホスホジエステラーゼ 4(PDE4)阻害剤で、PDE4を阻害する炎症性メディエーターの産生を調節すると考えられている。現在、世界45カ国以上の国々で乾癬や乾癬性関節炎、ベーチェット病などの炎症性疾患の経口治療薬として承認されている。
治療薬は、呼吸の補助が必要なCOVID-19患者の免疫反応に影響を及ぼす可能性のある医薬品から選択された。COVID-19患者の約10~15%は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を 発症し、ICUに入院した患者の最大60%が平均2週間にわたり人工呼吸器の装着が必要となり、半数の患者が死に至ると推定されている。それぞれの作用機序に基づき、オテズラは免疫反応により生じる炎症を抑制し、フィラジルはブラジキニンによる肺水腫の症状を改善し、セニクリヴィロクは組織への単球遊走を阻害すると考えられている。
武田薬品、アッヴィ、アムジェンがメンバーである COVID R&D アライアンスは、COVID-19の治療薬や新規抗体医薬品、抗ウイルス薬の開発を加速する目的で設立された協力体制で、世界トップのバイオ医薬品企業とライフサイエンス企業 20 社以上が参画している。