PhRMA 政府とのパートナーシップで新型コロナ抑制 治療薬・ワクチン開発で財政支援求める
公開日時 2020/07/02 04:52
米国研究製薬工業協会(PhRMA)のクリス・フウリガン在日執行委員会委員長は7月1日、ウエブ会見で、「感染症の脅威はまだ続いている。国内で、医薬品業界や政府が真のパートナーシップを組むことで、新型コロナウイルス感染症を理解し、抑制していかなければならない」と述べた。革新的新薬やワクチンを迅速に国民へ届けるために、研究開発と並行して製造体制を整えるために投資するなど、「大きなリスクを背負っている」と説明。早期に革新的新薬やワクチンを日本国民に提供するためにも、財務的リスクを軽減するような、強力な官民パートナーシップ構築の必要性を強調した。
「医薬品業界は力を合わせ、前例のない協力を行っている」―。同日講演した、リチャード・モーシスキー最高医務責任者(CMO)兼サイエンス&レギュラトリーアドボカシーエグゼクティブヴァイスプレジデントは、こう話す。化合物ライブラリーや生産能力など、これまでは競争することが必然だった領域も、競争の枠組みを超えた連携が進められているという。例えば、生産体制では、増産に向けて各企業が製造能力の拡大に取り組み、生産可能量を共有しているという。場合によっては、開発に失敗した企業の生産能力を他の企業が使用できるような方法も模索する。
革新的医薬品・ワクチンの開発にはリスクが伴う。現在、1228の臨床試験が進行中。140超のワクチン候補がある。「開発中の品目の成功確率は、5~10%。新型コロナウイルス感染症の克服というゴールに向けて数多くのシュートを打つ必要がある」と述べた。
◎安倍首相が掲げる“新たな日常”の実現で「バイオ産業がユニークに役割果たす」
こうした状況を踏まえ、フウリガン在日執行委員会委員長はパートナーシップの重要性を強調した。「パートナーシップを組むことで、感染制御を行い、第一線で働く医療従事者の支援を行い、日常生活を取り戻し、日本経済を再開する」と述べた。安倍政権が掲げる、ポストコロナ時代の“新たな日常”の実現に向けて、「バイオ医薬品業界はユニークな役割を果たせるのではないか」と自信をみせた。
具体的なパートナーシップの在り方については、官民パートナーシップについては、研究開発投資のリスクを低減するために、「ビル&メリンダ・ゲイツ財団や各国政府と協力することで事業活動の資金援助、支援を得ていることもある」として、リスクを低減するようなパートナーシップの在り方を求めた。
また、研究開発領域でのアカデミアとの連携については、「社会との契約に基づいた活動で、利益追求型ではない」と強調した。さらに、革新的新薬やワクチンはG20諸国だけでなく低中所得国にも届ける必要性があることを指摘。「様々な機関、官民の機関と組むことが必要だ。そうすることで、必要な人が医療にアクセスすることが可能になる」と述べた。