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新薬18成分を薬価収載へ 乳がん用薬エンハーツ・核酸医薬ビルテプソなど

公開日時 2020/05/13 10:30
厚生労働省の中医協総会は5月13日、新薬18成分28品目を薬価収載することを了承した。同省は5月20日に収載する予定。第一三共が承認を取得した乳がんのサードライン以降の治療に用いる抗体薬物複合体(ADC)エンハーツ点滴静注用(一般名:トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)や、先駆け審査など3つの指定を受けた日本新薬のデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬で核酸医薬品のビルテプソ点滴静注(同ビルトラルセン)などがある。なお日本イーライリリーが「低血糖時の救急処置」を効能・効果として承認を取得していたバクスミー点鼻粉末剤3mg(グルカゴン)は、今回収載が見送られた。同社広報部は、「追加の情報提供を行うことになったため」だとしている。このため8月の収載に向けて、協議を継続する。

収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)
エンハーツ点滴静注用100mg(トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え) 、第一三共)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る)
薬価:100mg1瓶 165,074円(1日薬価:21,224円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数1.3千人、販売金額129億円
加算: 有用性加算(Ⅱ)A=5%、新薬創出等加算、費用対効果評価(H1)
有用性加算(Ⅱ)A=5% :理由「トラスツズマブエムタンシン(遺伝子組換え)による治療歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌患者に対して奏効が認められたことから、治療方法の改善が示されていると考えられる。ただし、奏効率の結果を基に、本薬の延命効果に関する評価を行うことは困難であることから、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)とすることが妥当と判断した」
新薬創出等加算:主な理由「加算適用」
費用対効果評価(H1)

抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体(ADC)。がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞に直接届けることで、薬物の全身暴露を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高める。

HER2陽性の再発・転移性乳がんではトラスツズマブなどの抗HER2療法が標準治療で、病勢進行した患者に対しては別のADCのトラスツズマブ エムタンシン(国内製品名:カドサイラ、以下「T-DM1」)が使われる。エンハーツは、T-DM1投与でも治療困難なサードライン以降の治療に用いる。なお、エンハーツは、T-DM1投与でも進行した患者を対象とした日米欧アジアでのグローバルフェーズ2試験「DESTINY-Breast01」で、主要評価項目の客観的奏効率は60.9%を示した。

条件付き早期承認制度適用医薬品であることから、承認条件として、化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん患者を対象に実施中のフェーズ3試験におけるエンハーツの有効性及び安全性について医療現場に適切に情報提供することや、一定数の症例に係るデータが集積されるまで全症例を対象に使用成績調査を実施して、安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、適正使用に必要な措置を講じること――などがついている。

ビルテプソ点滴静注250mg (ビルトラルセン、日本新薬)
薬効分類:190 その他の神経系及び感覚器官用医薬品(注射薬)
効能・効果:エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失が確認されているデュシェンヌ型筋ジストロフィー
薬価:250mg5mL1瓶 91,136円
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数128人、販売金額54億円
加算: 市場性加算(Ⅰ)A=10%、先駆け審査指定制度加算 A=10%、新薬創出等加算
市場性加算(Ⅰ)A=10% :理由「希少疾病用医薬品の指定を受けていることから加算の要件を満たす。ただし、症例数が限られて市場規模が小さいことは原価計算方式の計算の中で価格に反映されていることを踏まえて、限定的な評価とした。」
先駆け審査指定制度加算A=10% :理由「先駆け審査指定制度の指定を受けており、先駆け審査指定制度加算の要件を満たす一方で、本剤の臨床試験では対照群が設定されていない上に、検討症例数が国内で26例、海外では16例に限られている等、得られた成績が限定的であることから、加算率は10%が妥当であると判断した」
新薬創出等加算:主な理由「希少疾病用医薬品」

日本新薬と国立精神・神経医療研究センターが共同で見出した、モルフォリノ化合物で合成されたアンチセンス核酸と呼ばれる核酸医薬品。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD) 患者の筋肉中のジストロフィン遺伝子のエクソン 53 を迂回して、機能のあるジストロフィンタンパク質を産生することによって、疾患の進行抑制と病態改善を期待する。同一の作用機序を有する薬剤は他にはない。

ラツーダ錠20mg、同40mg、同60mg、同80mg(ルラシドン塩酸塩、大日本住友製薬)
薬効分類:117 精神神経用剤(内用薬)
効能・効果:統合失調症、双極性障害におけるうつ症状の改善
薬価:20mg1錠178.70円、40mg1錠328.90円(1日薬価 328.90円)
  60mg1錠469.90円、80mg1錠493.40円
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数8.2万人、販売金額61億円
加算なし

非定型抗精神病薬で、ドパミンD2、セロトニン5-HT2A、セロトニン5-HT7受容体に親和性を示してアンタゴニストとして作用し、セロトニン5-HT1A受容体にはパーシャルアゴニストとして作用する。ヒスタミンH1及びムスカリンM1受容体にはほとんど親和性を示さないとされる。1日1回、食後経口投与で用いる。

メラトベル顆粒小児用0.2%(メラトニン、ノーベルファーマ)
薬効分類:119 その他の中枢神経系用薬(内用薬)
効能・効果:小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善
薬価:0.2%1g 207.80円(1日薬価:103.90円)
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数3.7万人、販売金額11億円
加算:有用性加算(Ⅱ)A=5%、小児加算A=10%、新薬創出等加算
有用性加算(Ⅱ)A=5%:理由「米国神経学会による自閉スペクトラム症の睡眠障害に対する治療 ガイドラインにて使用が推奨されていることを評価し、有用性加算(Ⅱ) (A=5%)とすることが妥当と判断した」
小児加算(A=10%):理由「小児に係る効能や用法が明示されていること等から、加算の要件に 該当する。6歳未満の患者等での有効性を評価していないため、限定的な評価とすべきである一方、国内の検証的試験における小児の登録症例数が約300例と比較的多いことは評価できるため、小児加算(A=10%) を適用することが妥当と判断した」
新薬創出等加算:主な理由「加算適用」

トリプトファンからセロトニンを経て体内で合成され、主として松果体から分泌される生体内ホルモンであるメラトニンを有効成分とする顆粒剤。神経発達症では血中メラトニン濃度の低下が報告されており、神経発達症患者でみられる睡眠障害の原因のひとつに、夜間における松果体からのメラトニン分泌の低下が関与していると考えられている。メラトニン自体が医療用薬として登場するのは初めて。

ロケルマ懸濁用散分包5g、同10g(ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物、アストラゼネカ)
薬効分類:219 その他の循環器官用薬(内用薬)
効能・効果:高カリウム血症
薬価:5g1包 1,095.20円、10g1包 1,601.00円(1日薬価:1,186.30円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数7.0万人、販売金額158億円
加算なし

カリウム吸着薬。微細孔構造を有する非ポリマー無機結晶の陽イオン交換化合物で、経口投与後、消化管のうち主に腸管内でカリウムイオンを捕捉することで対外に排出し、血清カリウム値を低下させる。同剤は室温保存できる。高カリウム血症の既存薬では飲みにくさ、服薬量の多さが課題となっているが、同剤は懸濁顆粒剤で持ち運びがしやすく、服薬量も少なくなる。

キャブピリン配合錠(アスピリン/ボノプラザンフマル酸塩、武田薬品工業)
薬効分類:339 その他の血液・体液用薬(内用薬)
効能・効果:下記疾患又は術後における血栓・塞栓形成の抑制(胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る)
・狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害 (一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)
 ・冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA) 施行後
薬価:1錠 130.30円(1日薬価 130.30円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数25万人、販売金額121億円
加算なし

既承認の低用量アスピリンとPPIタケプロンを配合したタケルダ配合薬と同様のコンセプトの製剤となる。アスピリンの長期投与により胃潰瘍や十二指腸潰瘍が引き起こされることがあり、アスピリンの継続投与の際は潰瘍発症を抑制することが重要となる。特に胃潰瘍や十二指腸潰瘍の既往患者に対してPPIを併用投与することが推奨されており、配合薬にすることでアドヒアランスの向上につなげる。武田と大塚製薬が共同販促する。

カボメティクス錠20mg、同60mg(カボザンチニブリンゴ酸塩、武田薬品工業)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
薬価:20mg1錠 8,007.60円、60mg1錠 22,333.00円(1日薬価:22,333.00円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2.8千人、販売金額127億円
加算: 有用性加算(Ⅱ)A=10%、新薬創出等加算、費用対効果評価(H1)
有用性加算(Ⅱ)A=10%:理由「スニチニブ等の血管新生阻害剤による治療後に増悪した根治切除不能又は転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者を対象とした海外第Ⅲ相ランダム化比較試験では、無増悪生存期間や全生存期間等でエベロリムスに対する本剤の優越性が検証され、かつ臨床的意義のある効果の大きさが認められていること等から、有用性加算(Ⅱ)(A=10%)とすることが妥当と判断した」
新薬創出等加算:主な理由「加算適用」
費用対効果評価(H1)

AXL/MET/VEGFRキナーゼ阻害薬。VEGFR2などを介したシグナル伝達分子(細胞外シグナル調節キナーゼ等)のリン酸化を阻害することで、腫瘍血管新生及び腫瘍細胞の増殖を阻害し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。今回の効能・効果は、化学療法歴のないファーストラインから使える。

テプミトコ錠250mg(テポチニブ塩酸塩水和物 、メルクバイオファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
薬価:250mg1錠14,399.00円(1日薬価:28,798.00円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数523人、販売金額25億円
加算: 有用性加算(Ⅱ)A=5%、先駆け審査指定制度加算 A=10%、新薬創出等加算
有用性加算(Ⅱ)A=5%:理由「間葉上皮転換因子(MET)に対する阻害作用により初めて一定の奏効率を示した新規作用機序医薬品であり、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが妥当と判断した」
先駆け審査指定制度加算A=10%:理由「本剤は先駆け審査指定制度の対象であるが、日本における承認の基礎となった主たる臨床試験において、安全性の解析対象とされた日本人患者は17例と限られていることから、限定的な評価とした」
新薬創出等加算:主な理由「希少疾病用医薬品として指定」

間葉上皮転換因子(MET)のチロシンキナーゼを阻害する低分子化合物(低分子MET阻害薬)。METのリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することで、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を標的とした治療薬は初となる。

ベレキシブル錠80mg(チラブルチニブ塩酸塩、小野薬品工業)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫
薬価:80mg1錠 5,067.40円 (1日薬価:30,404.40円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数119人、販売金額11億円
新薬創出等加算:主な理由「希少疾病用医薬品として指定」

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬。再発・難治性の中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)は、高用量メトトレキサート療法を基盤とした薬物療法や全脳放射線療法が行われている。ただ、再発率が高く、再発・難治性のPCNSLでは標準治療が確立されていないことから、新たな治療選択肢が望まれていた。

アネレム静注用50mg(レミマゾラムベシル酸塩、ムンディファーマ)
薬効分類:111 全身麻酔剤(注射薬)
効能・効果:全身麻酔の導入及び維持
薬価:50mg1瓶 2,218円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数21万人、販売金額13億円
加算なし

超短時間作用型ベンゾジアゼピン系の静脈麻酔薬。国内外の臨床試験で速やかな麻酔・鎮静作用の発現と消失に加え、良好な循環動態の維持と安全性プロファイルを有することが示されているという。製剤を水溶性としたことで血管痛などの注射部位反応の発現が少なくなることも期待されている。

ベオビュ硝子体内注射用キット120mg/mL(ブロルシズマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ)
薬効分類:131 眼科用剤(注射薬)
効能・効果:中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性
薬価:6mg0.05mL1筒 142,784円(1日薬価 1,956円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数3.7万人、販売金額294億円
加算なし

眼球に注射して用いる眼科用抗VEGF抗体薬。VEGF-Aに対するヒト化抗ヒトVEGF-Aモノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域を、リンカーを介して結合させた遺伝子組換え一本鎖抗体。既承認のVEGF阻害薬と比べて分子量が少なく、より高いモル濃度での投与が可能であることなどから、高濃度投与による作用時間の延長が期待される。

オゼンピック皮下注0.25mgSD 、同0.5mgSD、同1.0mgSD(セマグルチド(遺伝子組換え)、ノボノルディスクファーマ)
薬効分類:249 その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)(注射薬)
効能・効果:2型糖尿病
薬価:0.25mg0.5mL1キット 1,547円、0.5mg0.5mL1キット 3,094円、1mg0.5mL1キット 6,188円(1日薬価:442円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数9.6万人、販売金額125億円
加算なし

2型糖尿病に用いる週1回投与のGLP-1受容体作動薬オゼンピック皮下注(一般名:セマグルチド(遺伝子組換え))の新規格。2018年3月に承認を取得したものの、その後、14日投与日数制限に完全に対応できないとして薬価収載希望を取り下げた2mg製剤にかわるもの。

ルムジェブ注カート、同注ミリオペン、同注ミリオペンHD、同注100単位/mL(インスリンリスプロ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー)
薬効分類:249 その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)(注射薬)
効能・効果:インスリン療法が適応となる糖尿病
薬価:300単位1筒(カート)1,175円、300単位1キット(ミリオペン)1,400円、300単位1キット(ミリオペンHD)1,400円、100単位1mLバイアル(100単位/mL)277円(1日薬価:467円)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数7.6万人、販売金額28億円
加算なし

超速効型インスリンアナログ製剤。有効成分は既承認のヒューマログと同じ。ただ、添加剤としてトレプロスチニルナトリウム及びクエン酸ナトリウムを含むことで投与後初期の同剤の吸収が速くなり、インスリン作用の発現がヒューマログより速くなることで血糖降下作用がより速く発現する。ヒューマログは食直前に投与するが、ルムジェブは食事のタイミングにかかわらず投与できる。

ソリクア配合注ソロスター(インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/リキシセナチド 、サノフィ)
薬効分類:396 糖尿病用剤(注射薬)
効能・効果:インスリン療法が適応となる2型糖尿病
薬価:1キット 6,497円(1日薬価:464円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.9万人、販売金額32億円
加算なし

サノフィが製造販売する持効型インスリンアナログのランタス(一般名:インスリン グラルギン)と、GLP-1受容体作動薬リキスミア(リキシセナチド)の配合薬。インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の配合薬は、ノボ ノルディスクファーマが19年9月に発売したゾルトファイ配合注フレックスタッチがあり、ソリクアは2番手となる。

オニバイド点滴静注43mg(イリノテカン塩酸塩水和物、日本セルヴィエ)
薬効分類:424 抗腫瘍性植物成分製剤(注射薬)
効能・効果:がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌
薬価:43mg10mL1瓶 128,131円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.9千人、販売金額47億円
加算: 有用性加算(Ⅱ)A=10%、外国平均価格調整(引上げ)、新薬創出等加算
有用性加算(Ⅱ)A=10% :理由「本邦並びに米国及び欧州のガイドラインにおいて、膵癌の二次化学療法として推奨されている。また、5-フルオロウラシル及びレボホリナートの併用療法に本剤を上乗せすることによって、全生存期間が有意に延長することが検証さ れた。以上の2点が治療方法の改善に該当し、有用性加算(Ⅱ)(A=10%) を適用することが適当と判断した」
新薬創出等加:主な理由「加算適用」

イリノテカンのリポソーム製剤。イリノテカンをリポソームに封入することで時間をかけて徐々に薬剤を放出し、より長く腫瘍組織に働きかけることが特徴のひとつとなる。イリノテカンはI型トポイソメラーゼを阻害することで、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。日本セルヴィエが販売・流通を担い、ヤクルト本社がプロモーションする。

ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mL(ボロファラン(10B)、ステラファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌
薬価:9,000mg300mL1袋 444,215円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2.2千人、販売金額29億円
加算: 有用性加算(Ⅰ)A=35%、先駆け審査指定制度加算A=10%、新薬創出等加算
有用性加算(Ⅰ)A=35% :理由「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いられる製剤で、新規作用機序医薬品である。また、本剤を用いたBNCTは1回で治療が完了することから、 頭頸部癌に対する既存治療に比べて利便性が高い。これらを踏まえ、有用性加算 (Ⅰ)(A=35%)を適用することが妥当と判断した」
先駆け審査指定制度加算A=10% :理由「先駆け審査指定制度の対象品目として指定を受けているが、国内臨床試験成績が30例に限られている等、得られた成績が限定的であることから、加算率は10%が妥当であると判断した」
新薬創出等加算:主な理由「加算適用」

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用ホウ素薬剤。患者に同剤を投与することで、ホウ素(10B)ががん細胞に集まる。その後、患部に体外から中性子線を照射してホウ素(10B)とぶつかると核反応を起こし、放射線が発生する。BNCTは、この放射線によってがん細胞を破壊する治療法で、放射線治療の一種となる。なお、照射する中性子線は、非常にエネルギーが小さく、人体への影響はほとんどないという。

ボンベンディ静注用1300(ボニコグ アルファ(遺伝子組換え)、シャイアー・ジャパン)
薬効分類:634 血液製剤類(注射薬)
効能・効果:von Willebrand病患者における出血傾向の抑制
薬価:1,300国際単位1瓶(溶解液付)146,288円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数394人、販売金額9.8億円
加算:有用性加算(Ⅱ)A=5%、市場性加算(Ⅰ)A=10%、新薬創出等加算
有用性加算(Ⅱ)A=5% :理由「国内初の遺伝子組換えvon Willebrand因子(VWF)製剤であり、ヒト血漿由来の感染症伝搬リスクは排除されていること、VWF単独製剤であるため、血液凝固第Ⅷ因子とVWFの補充をそれぞれ適切な量で調節することが可能であることから治療方法の改善が示されていると判断し、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(Ⅰ)A=10% :理由「希少疾病用医薬品の指定を受けていることから加算の要件を満たす。ただし、症例数が限られて市場規模が小さいことは原価計算方式の計算の中で価格に反映されていることを踏まえて、限定的な評価とした」
新薬創出等加算:主な理由「希少疾病用医薬品として指定」

同疾患は、止血に重要な役割を果たすフォン・ヴィレブランド因子(VWF)の質的異常又は量的低下・欠損に起因する疾患で、最も効果的な治療法はVWFの補充療法とされる。ボンベンティは世界で初めて承認された唯一の遺伝子組換えVWF製剤。

アイラミド配合懸濁性点眼液(ブリモニジン酒石酸塩/ブリンゾラミド、千寿製薬)
薬効分類:131 眼科用剤(外用薬)
効能・効果:緑内障、高眼圧症で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合
薬価:1mL 492.20円(1日薬価 49.20円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数16万人、販売金額37億円
加算なし

アドレナリンα2受容体作動薬のブリモニジンと炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)のブリンゾラミドによる配合点眼薬。同剤は既承認の成分を組み合わせたもの。1回1滴、1日2回点眼して用いる。

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