中外 新型コロナ重症肺炎でアクテムラの国内フェーズ3実施へ グローバルとは別に
公開日時 2020/04/09 04:50
中外製薬は4月8日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体・アクテムラ点滴静注用(一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え))について、重症の新型コロナウイルス肺炎(COVID-19肺炎)を対象とした国内フェーズ3を実施すると発表した。同日付でPMDAに治験届けを提出し、試験デザインなど詳細をPMDAと検討している。同社は、「試験の詳細を確定の上、速やかに患者登録の開始を目指す」としている。
中外と戦略的提携関係にあるスイス・ロシュ社が3月19日に公表した同剤の重症COVID-19肺炎を対象としたグローバルフェーズ3「COVACTA」とは別に、国内で臨床試験を実施する。中外広報部は、国内外でCOVID-19の感染拡大の状況や、臨床試験を開始するタイミングが異なることなどを総合的に判断し、臨床試験を計画したと説明した。
COVACTA試験は米国、カナダ、欧州を含む世界の重症COVID-19肺炎の入院患者約330例を対象に、アクテムラと標準的な医療措置を併用した場合の安全性および有効性を、プラセボと標準的な医療措置の併用と比較する無作為化二重盲検プラセボ対照P3試験。主要評価項目および副次評価項目は臨床状態、死亡率、人工呼吸器および集中治療室(ICU)に関わる変数としている(記事はこちら)。
アクテムラは炎症性サイトカインの一種であるIL-6の受容体を遮断することで効果を発揮し、一部の過剰な免疫反応に対して効果があることが知られている。このため、新型コロナウイルスへの有効性も期待されている。同剤は中外の創製品で、関節リウマチなどで承認されている。