製薬協・中山会長 新型コロナウイルス感染拡大もMRの情報ニーズは「間違いなくある」
公開日時 2020/03/23 04:51
新型コロナウイルスの感染拡大でMRの在宅勤務が広まるなかで、日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長(第一三共代表取締役会長)は3月19日、総会後の会見で、「ニーズは間違いなくある。直接訪問できなくても、
(インターネットなどのツール活用で)一定のところまで解決できるのではないか」と述べた。この日の総会では、21年度の導入に向けて議論される中間年改定に向けた議論が今春以降本格化するなかで、特例として中山会長の任期が1年間延長されることが了承された。
新型コロナウイルスの感染拡大で、MRの医療機関訪問の自粛も拡がることについて中山会長は、「それですと、必要ないことになってしまうが、そうは思っていない」と述べた。インターネットをはじめとしたツールを活用し、「先生とコンタクトを取って安全性情報や製品情報、新たな情報が入れば伝える。やらなければならないことは間違いなくある」と強調。さらに、「いかにコロナをエクスキューズ市内で実現させるかは各社努力をしている。ニーズは間違いなくある」と続けた。
◎「社会的価値と透明性のある薬価評価システムを実現」に意欲
この日の総会では、中山会長の任期が1年間延長することが了承された。21年度に導入される中間年改定の議論が控えるなかで、「中間年改定、22年度の薬価制度改革において、イノベーションを評価する制度の理解と実現に注力していきたい」と意欲をみせた。日本製薬団体連合会(日薬連)の手代木功会長(塩野義製薬代表取締役社長)とともに、1年間体制が継続されることになる。
製薬協は革新的新薬創出に向けて、環境整備と、薬価制度上の適切な評価を2軸とすることを求めてきた。政府が昨年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2019」や次期健康・医療戦略でも、ゲノム情報の環境整備など、業界要望が数多く反映されている。中山会長は、「一定の反映を実現することができた」との認識を示したうえで、「ライフイノベーションの促進政策が来年度以降さらに拡大していくように、より一層注力する」と強調した。
特に21年度から導入される中間年改定の結論を出すまでの時間が短いなかで、「薬価改正に、社会的価値と透明性のある薬価評価システムを実現したい」と意欲をみせた。
環境整備では、「ゲノムを含める健康医療ビッグデータの活用で研究開発の効率化を実現することが極めて重要」との見解を表明。「患者のオミックス情報と臨床情報を統合したデータベースを構築し、創薬研究の活用基盤として整備されるよう引き続き積極的に働きかける」と述べた。さらに、産業界の活用も視野に入れた制度設計の必要性を強調した。
なお、製薬協では3月末で、理事長、専務理事、常務理事の事務局3人が一斉に退任する。「我々を取り巻く環境が年々厳しくなる」(中山会長)なかで、会長、副会長ら現行体制を維持することで、これまでの路線を継続、さらに発展させる考えを示した。