大規模イベント開催で一律の自粛求めず 医療者集う学会「皆さんの知見を反映して判断を」 加藤厚労相
公開日時 2020/02/21 04:53
加藤勝信厚労相は2月20日、新型コロナウイルスの感染が広がるなか、人が集まるイベントの開催に対する考え方として、「感染の広がりや会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討してほしい」とするメッセージを発表した。「現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではない」としている。一方で、感染拡大など状況の変化に応じて、適宜見直すことも盛り込んだ。
メッセージでは、「感染の拡大を防ぐためには今が重要な時期」と指摘し、イベント開催時の考え方を示した。それによると、感染のリスクは、「屋内などで、お互いの距離が十分にとれない状況で一定時間いることで高まる」とし、「感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討してほしい」と呼び掛けた。
加藤厚労相は、「個々に状況が異なり、一概には言えないということで、このような表現にさせていただいた」と説明。感染の拡大に地域差が生じていることなどから、「地域の感染の状況や、会場、運営の状況をしっかり考えて判断してほしい」と述べた。
◎学会などの開催判断「医療関係者であれば我々よりも知識がある」
また医療従事者が集まる学会などのイベントについては、「医療関係者であれば、感染症の専門家かどうかということはあっても、我々よりも知識がある。皆さんの知見を反映していただきながら判断していただければ」と述べた。
メッセージでは、イベントを開催する場合には、参加者への手洗いの推奨や、アルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある人の参加を控えるよう促すなどの対応も例示し、「感染機会を減らすための工夫を講じてほしい」と呼び掛けた。
そのうえで国民に対し、「風邪のような症状がある場合は、学校や仕事を休み、外出を控えるとともに、手洗いや咳エチケットの徹底など、感染拡大防止につながる行動」を求めた。特に高齢の方や基礎疾患を持つ人に対しては、「人込みの多いところはできれば避けるなど、感染予防に注意してほしい」と呼び掛けた。また、そのためには、「学校や企業、社会全体における理解に加え、生徒や従業員が休みやすい環境整備が大切」だとして、テレワークや時差通勤の活用を推奨した。
◎クルーズ船の高齢男女2人が死亡 国の職員2人の感染も新たに判明
同日は、横浜港に寄港するクルーズ船・「ダイヤモンド・プリンセス号」に乗船し、新型コロナウイルスに感染した80代の男女2人の死亡も確認された。このうち80代の男性は、新型コロナウイルス感染症が死因と診断される初めてのケースとなった。気管支喘息と狭心症の治療歴があった。一方80代の女性には基礎疾患がなかったという。12日に発熱し、入院していたが、14日に呼吸状態が悪化。高流量の酸素投与を行ったが改善がなく、20日死亡が確認された。厚労省によると、新型コロナウイルスに感染し、国内で死亡した人計3人となった。
このほかクルーズ船では、新たに厚労省の職員と内閣官房職員の計2人の感染も明らかになった。すでに入院して治療しているという。クルーズ船をめぐっては、これまで検疫官と厚生労働省の職員の2人の感染が確認。感染が判明している国の職員は、同日までに4人に上った。