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高血圧治療用アプリの第3相臨床試験スタート 自治医科大とCureApp社

公開日時 2020/02/03 04:51
自治医科大学とCureApp社(本社:東京都中央区)は1月31日、高血圧治療用アプリの第3相臨床試験を開始したと発表した。21年中の承認申請を目指す。CureApp社はこれまでにも、ニコチン依存症、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療用アプリの開発に取り組んでいる。高血圧の治療用アプリは米国でも承認されておらず、承認までこぎつければ世界初となる可能性がある。降圧薬を服用せずに治療効果を発揮する可能性があり、アプリによって患者の意識・行動変容を促すことで、生活習慣の改善を目指す。同日会見したCureApp社の佐竹晃太代表取締役社長は、「高騰する医療費の適正に寄与するポテンシャルをもつ」と意義を強調した。

◎患者の意識・行動変容促す IoT血圧計と生活習慣ログから個別最適化

開発する高血圧治療用アプリは、医学的エビデンスに基づき、個別最適化された治療ガイダンスを患者に提供するもの。IoT血圧計を用いた血圧モニタリングと生活習慣ログ等のデータから、個人の血圧特性と生活習慣を自動分析し、食事や運動、睡眠などの情報を提供する。

高血圧治療では減塩や節酒をはじめ、食事・運動療法が重要だが、継続の難しさが指摘されている。患者の意欲や職場・家庭環境に左右されるうえに、医療現場からの介入も難しく、新たなアプローチ法が求められていた。開発するアプリを通じ、患者の意識・行動変容を促すことで、正しい生活習慣を習慣化し、治療効果を得たい考えだ。治療の中断が指摘されてきた働き盛り世代や、遠隔地で受診継続が難しかった人にも新たな選択肢が生まれる可能性がある。

同社によると、第3相臨床試験では、降圧薬による内服治療を受けていない本態性高血圧症患者360人が対象。日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」に沿った生活習慣の改善を全員に行い、治療アプリの有無に分け、治療効果を比較する。主要評価項目は、治療開始後12週時点における自由行動下血圧測定(ABPM)による24時間の収縮期血圧の平均値のベースラインからの変化量。2019年12月から、自治医科大学など全国12施設で実施している。

◎製薬企業とのコラボも検討 保険適用見据え販売体制構築にも力

同日の会見で佐竹社長は、アプリの販売体制の構築にも取り組んでいることを明らかにした。ニコチン依存症治療用アプリについては、2019年に承認申請を行っており、年内の保険適用を見込んでいる。佐竹社長は、「去年からマーケティングチームや営業チームの採用を進めている。できるだけの体制を確立したい」と意気込んだ。大手製薬企業も、スタートアップとコラボするなどして、相次いでアプリの開発に乗り出している状況にあるなか、佐竹社長は、「連携も大きなポイントだと思うので、検討している」と述べ、製薬各社との連携にも前向きな姿勢を示した。



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