日本リリー たまご型ロボット活用で小児の治験参画・継続をサポート
公開日時 2019/12/13 04:50
日本イーライリリーは12月12日、たまご型コミュニケーションロボット「Tapia(タピア)」のパイロット運用を開始したと発表した。タピアは、発話機能と液晶画面による動画再生機能を搭載するロボット。小児用医療用医薬品は医療上のニーズが高い一方で、治験に参画する患者数の少なさが開発を阻む一因であると指摘されている。ロボットの活用を通じ、治験に参画する小児に治験への理解を深めてもらい、治験参加・継続を促す狙いがある。
「治験について理解できましたか?」、「治験に参加してみたいと思いましたか?」―。たまご型ロボットが映すのは、音声付の治験について理解を促す動画だ。動画を通じて、治験に興味を持った患者は医師や治験コーディネーターからより詳細な説明を受けることができる。治験が何か、被験者が何をするか、理解を深めてもらうことで、患者の治験参画に加え、継続もうながす。また、タピアでは、治験の同意取得の動画も見ることができる。動画視聴後に患者に質問に答えてもらうことで、治験コーディネーターらが患者の理解度を把握し、適切な理解につなげることにも期待がかかる。
タピアは、治験参加中の患者をサポートする仕組みも併せ持つ。「今日の調子はどう?」、「今日は先生や治験コーディネーターさんに話したいことある?」―。前回の来院時に取得したQRコードをかざすと、キャラクターがざっくばらんな内容で話しかけるほか、自身の治験の進捗状況を把握できる。医療従事者に伝えたいことは結果を紙に印刷することで、医療従事者に患者自身の想いを伝えることも後押しする。小児治験の課題として、患者の保護者と医療従事者で意思決定がなされることが指摘されるなかで、課題解決の一助になりたい考えだ。
◎若年性特発性関節炎患者を対象に全国 6 施設でパイロット運用
同社は今年11月から、若年性特発性関節炎患者を対象に、全国 6 施設(宮城県:1、東京都 :1、神奈川 県:2、大阪府:1、鹿児島県:1)でパイロット運用を開始した。最大16か月間、タピアを設置する。同社はパイロット運用の結果を踏まえ、小児を対象としたほかの治験や成人への対象拡大を予定しているという。