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国がんら研究チーム リキッドバイオプシーで脳腫瘍診断モデルの作成に成功

公開日時 2019/12/12 04:50
国立がん研究センターと東京医科大学の研究チームは12月9日、血液を用いるリキッドバイオプシーによって脳腫瘍を診断するモデルの作成に成功したと発表した。診断モデルの精度は感度95%、特異度97%という。脳腫瘍の診断は現在、CTやMRIなど画像が主流だが、血液診断の手法を確立することで、脳腫瘍の早期発見、早期治療につながると期待される。

研究では、脳腫瘍患者266例と、そうでない人314例の計580例の血液中のマイクロRNAを網羅的に解析した。脳腫瘍患者を悪性神経膠腫157例、それ以外の脳腫瘍109例に分け、さらなる解析を行い、特に頻度の高い悪性神経膠腫の鑑別を目指した。

その結果、悪性神経膠腫で有意に変化する複数のマイクロRNAを同定。このうち3種を組み合わせることで、悪性神経膠腫を判別できる判別式を作成した。

判別式の精度は、悪性神経膠腫患者全体の95%をがんであると正しく判別することが可能だと検証された。組織型と悪性度別の検証でも、▽グレードⅡ星細胞腫100%、▽グレードⅡ乏突起膠腫100%、▽グレードⅢ星細胞腫90%、▽グレードⅢ乏突起膠腫100%、▽膠芽腫93%—の患者群を陽性と診断できたという。

また判別式では、悪性神経膠腫以外の脳腫瘍109例も検証。▽上衣腫・毛様細胞性星細胞腫などの腫瘍 100%、▽中枢神経系原発悪性リンパ腫93%、▽転移性脳腫瘍89%、▽髄膜腫・神経鞘腫91%、▽頭部外傷・脳梗塞100%-の患者群を陽性と診断した。一方で、2例の脊髄の神経鞘腫はいずれも陰性と診断した。このため研究チームでは、「判別式は悪性神経膠腫を含む脳腫瘍の診断に役立つ可能性が考えられる」としている。

◎膠芽腫、中枢神経系原発悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍のモデルも


このほか研究チームでは、画像所見では区別がつきにくい場合がある膠芽腫、中枢神経系原発悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍の3つの腫瘍を判別する判別式モデルも作成した。このモデルでは、▽膠芽腫で94%、▽中枢神経系原発悪性リンパ腫で50%、▽転移性脳腫瘍で80%―を正しく判別できたという。研究チームでは、「中枢神経系原発悪性リンパ腫の診断精度は低いものの膠芽腫や転移性脳腫瘍はマイクロRNAを用いて診断できる可能性が示された」とコメントしている。



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