厚労省 添付文書改訂を指示 タケキャブ、血小板減少などを「重大な副作用」に追記
公開日時 2019/10/30 03:51
厚生労働省医薬・生活衛生局は10月29日、重大な副作用などが判明した医療用医薬品の添付文書を改訂するよう、日本製薬団体連合会に医薬安全対策課長通知で指示した。この中には、武田薬品の抗潰瘍薬タケキャブ(一般名:ボノプラザンフマル酸塩)及びそのパック製剤について、添付文書の「重大な副作用」に、汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少を追記することが含まれる。
また、グラクソ・スミスクラインの全身性エリテマトーデス用薬ベンリスタ(ベリムマブ(遺伝子組換え))について、「重大な副作用」に、うつ病、自殺念慮、自殺企図を追記する。
添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。
▽タケキャブ錠(一般名:ボノプラザンフマル酸塩、武田薬品)
▽ボノサップパック(ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン、同)
▽ボノピオンパック(ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール、同)
薬効分類:232 消化性潰瘍用剤
指示概要:ボノプラザンフマル酸塩の「重大な副作用」の項に、「汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少」を追記。
過去3年の国内報告数のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない例数:
血小板減少関連症例:2例(死亡との因果関係が否定できない症例0例)
無顆粒球症、白血球減少関連症例:4例(死亡との因果関係が否定できない症例0例)
汎血球減少:2例(死亡との因果関係が否定できない症例0例)
改訂理由:ボノプラザンフマル酸塩の国内症例が集積したことから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した。
▽ウロマチックS泌尿器科用灌流液(D-ソルビトール、バクスター)
薬効分類:251 泌尿器官用剤
指示概要:「禁忌」の項に、「遺伝性果糖不耐症」を追記。
過去3年の国内報告数のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない例数:0例
改訂理由:欧州EMAにて、ソルビトールまたは果糖を含有する静注製剤について、遺伝性果糖不耐症患者への使用を禁忌とする措置がとられた。本剤は、泌尿器科用の灌流液ではあるものの、「禁忌」の項に「遺伝性果糖不耐症の患者」が設定されている国内静注製剤と同程度のソルビトール吸収量が示唆されることから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した。
▽ベンリスタ点滴静注用、同皮下注(ベリムマブ(遺伝子組換え)、グラクソ・スミスクライン)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品
指示概要:「重要な基本的注意」の項に、うつ病、自殺念慮、自殺企図が発現する可能性があることを患者及び家族等に説明し、関連する症状があらわれた場合には速やかに担当医に連絡するよう指導する旨を追記する。「重大な副作用」の項に、「うつ病、自殺念慮、自殺企図」を追記する。
過去3年の国内報告数のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない例数:0例
改訂理由:製造販売後臨床試験の結果、ステロイド療法などの標準治療にプラセボを投与した群と比較し、標準治療に本剤を投与した群において、うつ病及び自殺・自傷行為の発現頻度が高かった。専門委員の意見も踏まえた調査の結果、うつ病、自殺念慮、自殺企図のリスクを管理する上で、医師に加え、患者自身やその家族が精神的な異変に留意することが重要であると考え、「重要な基本的注意」と「重大な副作用」で注意喚起することが適切と判断した。
▽コンサータ錠(塩酸メチルフェニデート徐放剤、ヤンセンファーマ)
薬効分類:117 精神神経用剤
指示概要:「警告」の項で、本剤の投与は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断、治療に精通し、かつ薬物依存を含む本剤のリスク等について十分に管理できる、管理システムに登録された医師のいる医療機関及び薬剤師のいる薬局において、登録患者に対してのみ行うこと、に改めること。また、本剤の投与にあたり、患者(小児の場合は患者又は代諾者)に対して有効性、安全性、目的以外への使用や他人への譲渡をしないことを文書で説明し、文書で同意を取得すること、を追記する。
改訂理由:これまでAD/HDの診断、治療に精通し、リスク等についても十分に管理できる「医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ」本剤の投与ができるとの流通管理を行ってきたが、今回、適性流通管理を引き続き推進するため、管理システムに登録した医師、医療機関、薬剤師のいる薬局において、登録患者に対してのみ投与できるようにする。