ノバルティス 小児・AYA世代がん経験者の就職活動支援、社会復帰をサポート
公開日時 2019/10/25 03:52
ノバルティスファーマは10月24日、小児・AYA世代がん経験者の就職活動支援動画およびがん経験者の社会復帰をサポートするウェブサイトを公開した。ここ数年でがん治療は多くの革新的新薬の登場により、治癒後に日常生活や職場復帰などを実現できる時代を迎えた。ただ、がんを克服したがんサバイバーの多くは再発や転移への不安を日々抱えているほか、がん克服後の就労や経済的な課題に対し、健常人とは異なる様々な悩みを抱えている。同社は、こうしたがんサバイバーに対し、がん経験者の就職活動支援動画や、がん経験者の社会復帰をサポートする情報提供を行うことで、がんサバイバーを治療面だけでなく生活面からもサポートする事業に乗り出した。
政府は全世代型社会保障の議論を通じ、70歳まで健康で働くことのできる社会構造や社会システムの議論に着手した。こうした議論を通じ、疾病を克服しながら、歳をとっても健康で働ける社会システムの構築やサポートを産業界に求めている。特に、製薬産業に対しては、ここ数年間で上市した革新的新薬により、これまで治癒できなかった疾患がある程度克服できるようになったことから、疾病を克服した患者の就労支援や日常生活をサポートするソリューションの開発やサービス提供について、IT企業やアカデミアとの協働を含めて検討を求めているところ。
◎患者視点の教育、就労等の情報・相談体制等が十分でないという課題
今回ノバルティスが就労支援のサポートを行うAYA世代のがん罹患率は、人口10万対当たり15~19歳は14.2人、 20歳代で31.1人、 30歳代で91.1人となる。日本全体の人口に当てはめると 1年間にがんと診断される人数は15~19歳で約900人、 20歳代で約4200人、 30歳代で約1万6300人と推計されている。このため、AYA世代は、年代によって就学、就労、生殖機能等の状況が異なり、 患者視点での教育、就労等に関する情報・相談体制等が十分ではないという課題があった。これに対し、全がんの5年相対生存率は、 56.9%(2000~2002年)、 58.6%(2003~2005年)、 62.1%(2006~2008年)と年々上昇しており、より多くのがん患者・経験者が治療を受けながら働ける可能性が高まっている。
◎基本的な心構えや知識、スキルなどで11本の動画公開
ノバルティスはこうしたがんを克服した患者に対し、一般社団法人CSRプロジェクト、 公益財団法人がんの子どもを守る会と資生堂の協力のもと、小児・AYAがん経験者が初めて就職活動する際の参考にすることを目的とし、基本的な心構えや知識、スキル、小児・AYAがん経験者の就職活動体験談などを紹介した11本の動画を公開した。
また、がん経験者が社会復帰する時に感じる悩みや不便に対応する生活情報サイトについても公開した。同サイトは、国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センター長の野澤桂子氏、および東京聖栄大学健康栄養学部管理栄養学科教授の宮内眞弓氏による監修。美容ジャーナリストの山崎多賀子氏やその他団体・企業の協力のもと、脱毛、メイク、スキンケアなど、患者ががんや治療によって生じる外見変化に関する悩みを解決するためのアピアランスケアや患者さんが抱える食の悩みを軽減するための情報を提供する。