薬食審 10月31日に第二部会 2製品を審議、季節性アレルギー性鼻炎に対する初の抗体製剤も
公開日時 2019/10/25 03:50
厚生労働省は10月31日に新薬の承認の可否などを審議する薬食審・医薬品第二部会を開催する。当日は、ノバルティスファーマのヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤ゾレア皮下注に季節性アレルギー性鼻炎の効能を追加することなどを審議する。承認されれば、同疾患に対する初の抗体製剤となる。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ゾレア皮下注用75mg、同150mg、同皮下注75mgシリンジ、同皮下注150mgシリンジ(オマリズマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ):「季節性アレルギー性鼻炎」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
アレルギー反応に関与しているIgEに直接結合し、その作用を特異的に阻害することでアレルギー炎症反応を抑えるヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体。国内では2009年1月に承認され、気管支喘息や慢性蕁麻疹に用いられている。
承認されれば、季節性アレルギー性鼻炎としては初の抗体製剤となる。
▽トルツ皮下注80mgシリンジ、同80mgオートインジェクター(イキセキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「強直性脊椎炎」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
サイトカインであるインターロイキン 17A(IL-17A)に特異的に結合し、IL-17受容体との相互作用を阻止するモノクローナル抗体。IL-17Aは自然発生するサイトカインで、炎症及び免疫反応に関与するが、同剤によって、炎症性サイトカイン及びケモカインの放出が阻害される。現在は、尋常性乾癬や関節症性乾癬、乾癬性紅皮症などを効能・効果としている。
■乳がん薬イブランスに錠剤追加 食後投与の制限なく
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告予定品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「非小細胞肺がん」を対象疾患とする新用量医薬品。
同剤はがん免疫療法薬で、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体。現在は「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」などの効能・効果で承認されているが、今回は、非小細胞肺がんに対するプラチナ製剤(カルボプラチンなど)との併用療法を追加する。
▽イブランス錠25mg、同125mg(パルボシクリブ、ファイザー):「乳がん」を対象疾患とする新効能・新剤形に係る医薬品。
サイクリン依存性キナーゼ4および6(CDK4/6)とサイクリンD複合体の活性を選択的に阻害する薬剤。現在のカプセル製剤に今回、錠剤を追加する。厚労省によると、カプセル剤は食後投与だが、錠剤は食後投与との制限はなく、柔軟な服用が可能になる。
▽エムプリシティ点滴静注用300mg、同400mg(エロツズマブ(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズ スクイブ):「多発性骨髄腫」を対象疾患とする新用量医薬品。
細胞表面の糖タンパク質であるSignaling Lymphocyte Activation Molecule Family member 7(SLAMF7)を特異的に標的とする免疫賦活抗体。2016年9月、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の適応で承認され、レナリドミドおよびデキサメタゾンと併用して用いる。今回は、ポマリドミドおよびデキサメタゾンとの3剤併用療法を可能にする。
▽カイプロリス点滴静注用10mg、同40mg(カルフィルゾミブ、小野薬品):「多発性骨髄腫」を対象疾患とする新用量医薬品。
プロテアソーム阻害薬で、骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導する。デキサメタゾンとの2剤併用療法について、現在は週2回の投与が必要になっているが、今回、週1回の投与を可能にする。