ファイザー 抗腫瘍性抗生物質製剤・イダマイシンの供給再開延期 再開未定
公開日時 2019/07/12 03:52
ファイザーは、供給を停止している抗腫瘍性抗生物質製剤・イダマイシン静注用(一般名:イダルビシン塩酸塩)について、予定していた7 月下旬の供給再開の延期を決め、7月10日から医療機関や関係学会に情報提供を開始した。海外委託製造所で検出された微生物数が規定より多かったため供給を停止。改善策を実施することで供給再開を予定していたが、改善策に対する有効性評価で期待した結果が得られなかった。供給再開時期は未定。同じ製造所で製造され、同じく供給を停止している抗腫瘍性抗生物質製剤・ファルモルビシン注射用(エピルビシン塩酸塩)、同RTU注射液の供給再開も同様に、供給再開時期は未定としている。
イダマイシンは「急性骨髄性白血病」、ファルモルビシンは「急性白血病、悪性リンパ腫、乳がん、卵巣がん、胃がん、肝がん、尿路上皮がんの自覚的並びに他覚的症状の緩解」などに用いられる。ファイザーにおけるイダマイシン、ファルモルビシンの在庫状況は、イダマイシン静注用5mg、ファルモルビシン注射用10mg、同RTU注射液10mg、同RTU注射液50mgは欠品状態。ファルモルビシン注射用50mgは12月上旬に在庫がなくなる見込み。イダマイシンには同一成分同一規格の製品はないが、同種同効品にダウノルビシンがあり、ファルモルビシンについては後発医薬品がある。ファイザーは代替の治療等の検討を医療従事者に求めている。
この問題は、イダマイシン、ファルモルビシンを製造している海外委託製造所で定期的に行っている環境モニタリング試験で、検出された微生物数が規定より多かったとの結果を受けたもの。2018年11月からファルモルビシン注射用10mgの製造ラインの調査を進めたところ、他の製品でも同様の傾向であることが判明。そのため19年3月に同製造所の製造を停止した。出荷後の製品については日本における最終出荷試験で問題がないことが確認されているという。
海外委託製造所は改善策を実施し4月18日からイダマイシンの製造を再開したが、改善策の評価を行ったところ、期待した結果が得られなかった。そのためファイザーは、予定していた7月下旬の供給再開を延期した。同社によると、「現在、改善策の妥当性を確認するとともに製品の品質に対する影響評価を進めている。この影響評価にはさらに時間を要する見込みであることから、イダマイシンの供給再開の目途が立っていない」としている。ファルモルビシンの供給再開も未定という。
ファイザーは、原田明久社長名で「イダマイシン静注用5mg ファルモルビシン注射剤 供給に関するお詫びとお願い(第4報)」とする文書をまとめ、10日からMRが医療機関に説明に回っている。関係学会にも情報提供。同社の医療従事者向けサイトにも掲載した。文書では「度重なる供給再開遅延により、医療関係者の皆様、患者様に多大なご迷惑をお掛けしますことを、改めてお詫び申し上げます」としている。