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新薬11製品を収載へ AD/HD治療薬ビバンセカプセルなど

公開日時 2019/05/16 03:51
厚生労働省の中医協総会が5月15 日に開かれ、新薬11製品(11成分17品目)を薬価収載することを了承した。同省は5月22日に収載する予定。このなかには、覚醒剤原料を用いているため厳格な流通管理を義務付けるAD/HD治療薬ビバンセカプセルや、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に用いるICS/LAMA/LABA の3剤配合吸入薬テリルジー100エリプタなどがある。

収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)

ビバンセカプセル20mg、 同30mg(リスデキサンフェタミンメシル酸塩、塩野義製薬)
薬効分類:117(精神神経用剤(内用薬)
効能・効果: 小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
薬価:20mg1カプセル 674.80円 、30mg1カプセル 747.70円(1日薬価 747.70円)
市場予測(ピーク時10年後):億円投与患者数9.0千人、販売金額20億円
加算:小児加算(A=5%):理由「小児に係る用法・用量が明示的に含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないことから、加算の要件に該当する。加算率は、国内小児試験における症例数が限られていること等から、5%が妥当」

ドパミンとノルアドレナリンの遊離促進・再取り込み阻害薬。6歳~17歳の患者が対象となる。神経伝達物質の働きを強めることにより、AD/HDの諸症状を改善すると考えられている。
 
同剤では、新たに社外委員会を組織し、適正使用管理システムを構築して流通量などを一元管理すること、医療機関や薬局に管理システムへの登録を義務づける。また卸売販売業者に対しては、登録施設以外への納入を禁止する。
 
これら流通管理の遵守に同意し、AD/HDの治療に精通し、薬物依存を含む同剤のリスク等を十分に管理できる医療機関・薬局のみで扱われるようにすることを承認条件とした。また、「使用実態下における乱用・依存性に関する評価が行われるまでの間は、他の治療薬が効果不十分な場合にのみ使用されるような必要な措置を講じる」ことも承認条件となった。武田薬品とプロモーション提携している。

ロスーゼット配合錠LD、同HD(エゼチミブ/ロスバスタチンカルシウム、MSD)
薬効分類:218(高脂血症用剤(内用薬)
効能・効果:高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
薬価:ロスーゼット配合錠LD1錠  177.00円(1日薬価 177.00円)、同HD1錠  177.00円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数31万人、販売金額135億円
加算:加算なし。

14日の投与日数制限は設けない。小腸からコレステロールの吸収を阻害するゼチーア錠の有効成分であるエゼチミブと、コレステロールの生合成を阻害するロスバスタチンカルシウムの配合剤。通常、成人に対し食後に1日1回1錠。バイエル薬品と共同販売される予定。

スマイラフ錠50mg、 同100mg(ペフィシチニブ臭化水素酸塩、アステラス製薬)
薬効分類:399(他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
薬価:50mg1錠 1,741.00円(1日薬価:5,223.00円)、100mg1錠3,379.90円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数6.8千人、販売金額84億円
加算:加算なし

種々の炎症性サイトカインによる細胞内シグナル伝達に役割を果たすJAKを阻害することで、関節リウマチにおいて、関節の炎症や破壊を引き起こす細胞の活性化や、増殖を抑制する作用を持つ。通常、成人に対し150mgを食後に1日1回。
 
アステラスが創製した経口JAK阻害薬。関節リウマチに対するJAK阻害薬は3製品目。

アーリーダ錠60mg(アパルタミド、 ヤンセンファーマ)
薬効分類:429(その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌
薬価:60mg1錠  2,281.90円 (1日薬価 9,127.60円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数9.2千人、販売金額218億円
加算:加算なし。

経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬で、▽アンドロゲンがアンドロゲン受容体に結合するのを阻害する▽アンドロゲン受容体ががん細胞核内に移行するのを止める▽アンドロゲン受容体ががん細胞のDNAに結合するのを阻害する――との3つの方法でがん細胞の増殖を阻害する。通常、成人に対し1日1回240mg投与。日本新薬とプロモーション提携している。

アステラス製薬のイクスタンジ(一般名:エンザルタミド)と同じ作用機序。イクスタンジは遠隔転移の有無にかかわらず使えるが、アーリーダは非転移性の患者が対象となる。

アセレンド注100μg(亜セレン酸ナトリウム、藤本製薬)
薬効分類:322(無機質製剤(注射薬)
効能・効果:低セレン血症
薬価:100μg2ml1瓶 1,618円
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数2.0千人、販売金額12億円
加算:小児加算(A=5%):理由「小児に係る用法・用量が明示的に含まれており、加算の要件に該当する。 ただし、国内臨床試験における小児患者の検討例数が限られていることから限定的な評価とし、A=5%が妥当」
新薬創出等加算に該当。厚生労働省が開発を公募したため。

現在まで、セレンの補充を目的とするセレン製剤は承認されておらず、施設ごとの倫理委員会に使用許諾を得たうえで、病院や患者が薬剤費を負担して使用するという状況が続いていたという。

レブコビ筋注2.4mg(エラペグアデマーゼ(遺伝子組換え)、帝人ファーマ)
薬効分類:395 (酵素製剤(注射薬)
効能・効果:アデノシンデアミナーゼ欠損症
薬価:2.4mg1.5ml1瓶  846,349円
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数8人、販売金額9.7億円
加算:
有用性加算(II)(A=5%):理由「ADA欠損症に対する初の薬剤であり、患者の代謝異常・重症免疫不全に起因する諸症状を改善し、造血幹細胞移植のためのドナー探索期間や移植実施までの期間において、全身症状を安定した状態に維持することができることから、有用性加算(II)(A=5%)とすることが適当」
市場性加算(I)(A=10%):理由「希少疾病用医薬品に指定されており、市場性加算(Ⅰ)の要件を満たすものの、症例数が限られて市場規模が小さいことは原価計算方式の計算の中で価格に反映されていることを踏まえて、限定的な評価とした」
新薬創出等加算に該当。希少疾病用医薬品として指定されたため。

アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症は、遺伝子変異が原因で酵素のADAの産生できなくなることで、血液中のリンパ球が減少し、感染症を発症しやすくなる指定難病。重症免疫不全や成長障害などを引き起こす。同剤はADAの活性を補い、代謝異常を改善するとされる。

スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83ml(リサンキズマブ(遺伝子組換え)、 アッヴィ合同会社)
薬効分類:399 (他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:既存治療で効果不十分な下記の疾患(尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症)
薬価:75mg0.83ml1筒 239,374円 (1日薬価 5,699円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数4.9千人、販売金額102億円
新薬創出等加算に該当。加算適用品等の収載から3年以内3番手以内のため。

同剤は、炎症に関わるIL-23を阻害する作用を持つ。成人に1回150mgを初回に投与後、4週後、以降12週間間隔で皮下投与する。

リサイオ点滴静注液100mg(チオテパ、大日本住友製薬)
薬効分類:421(アルキル化剤(注射薬)
効能・効果:小児悪性固形腫瘍における自家造血幹細胞移植の前治療
薬価:100mg2.5ml1瓶 189,816円
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数33人、販売金額 0.51億円
加算:小児加算(A=5%):理由「小児を対象とすることが明示されており、小児加算の要件を満たす。ただし、国内治験実施症例数が限られていることから、限定的な評価とし、加算率 はA=5%とした」
新薬創出等加算に該当。厚生労働省が開発を公募したため。

小児がんの治療には、抗がん剤や放射線照射を極量まで増やす骨髄破壊的な前治療を行って難治がんを根絶した後に、正常な造血幹細胞を経静脈的に輸注して造血能の再構築を図る「造血幹細胞移植」(HSCT)という治療法があり、チオテパはこの「前治療」に用いる。
 
もともと同剤はDNA合成阻害作用を持つ抗腫瘍性アルキル化剤で、かつてテスパミン注射液の名称で販売していた。09年に販売を中止したが、海外で造血幹細胞移植の前治療薬として承認されてから、日本でも使えるよう関連学会から要望が出されていた。

ラビピュール筋注用(1瓶(溶解液付))(燥組織培養不活化狂犬病ワクチン、グラクソ・スミスクライン)
薬効分類:631(ワクチン類(注射薬)
効能・効 果:狂犬病の予防及び発病阻止 ※保険適用となるのは発病阻止のみ
薬価:1瓶(溶解液付)11,867円(1治療薬価:71,202円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数430人 、販売金額0.23億円
加算:小児加算(A=5%):理由「小児を対象に国内で臨床試験が実施されていること、比較薬は小児加算を受けていないことから加算の要件に該当する。加算率については、 本剤の位置づけが比較薬と同等であることから、5%が妥当」

現在、狂犬病ワクチンを製造販売しているのはKMバイオロジクス(販売:アステラス製薬)のみ。GSKは「狂犬病は有効な治療法が確立されていないことから、ワクチンによる感染予防および発病阻止が極めて重要。GSKはその社会的背景や必要性を考慮し、本剤の開発・申請した」としている。

ピリヴィジェン10%点滴静注5g/50ml、同10g/100ml、 同20g/200ml(pH4処理酸性人免疫グロブリン、CSLベーリング)
薬効分類:634(血液製剤類(注射薬)
効能・効果 :慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)
薬価:5g50ml1瓶39,718円、10g100ml1瓶 78,580円、20g200ml1瓶155,468円(1日薬価 155,468円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数582人、販売金額43億円
加算なし

同剤は海外では、原発性および続発性免疫不全症候群患者の補充療法、また慢性免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、ギラン・バレー症候群、川崎病の患者の免疫調節療法に使用されている。効能・効果は、国の指定難病の1つで、2ヶ月以上にわたり四肢の筋力低下やしびれ感をきたす末梢神経の疾患。

テリルジー100エリプタ14吸入用、同30吸入用(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物 /ビランテロールトリフェニル酢酸塩、グラクソ・スミスクライン)
薬効分類:229(その他の呼吸器官用薬(外用薬)
効能・効果:慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤、 長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
薬価:14吸入1キット 4,107.40円、30吸入1キット8,692.80円(1日薬価 :289.80円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数40万人、販売金額236億円
加算:市場性加算(II)(A=10%):理由「既存治療で効果不十分な患者群で検討を行い、既存の2成分の治療と比較して、慢性閉塞性肺疾患の増悪の年間発現率で統計学的に有意な差が認められた。また、審査報告書において本剤は3成分を1回の吸入で投与可能であり、 利便性が高いと評価されている」
新薬創出等加算に該当。
費用対効果評価への該当性:該当する(H1)

汎用されている吸入ステロイド(ICS)、長時間作用性吸入抗コリン剤(LAMA)、長時間作用性吸入β2刺激剤(LABA)の配合剤。1吸入中、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(ICS)として100μg、ウメクリジニウム(LAMA)として62.5μg、ビランテロール(LABA)として25μgを含有。複数の吸入器を用いず、1日1回で必要な薬剤を投与できる。

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