東北大・柿坂講師 てんかんの症例検討会に遠隔会議システム活用 医療の質向上を
公開日時 2019/03/25 03:50
東北大学大学院医学研究科てんかん学分野の柿坂庸介講師は3月22日、ユーシービージャパン主催のメディアセミナーで講演し、てんかんの症例検討会に遠隔会議システムを活用することについて、「大きなインパクトがあり、医療の質の向上が期待できる」と意義を強調した。てんかんは、国内に100万人の患者がいる一方で、専門医は700人程度。医師の不足や偏在が課題となっている。柿坂講師らは、医師の教育に遠隔会議システムを活用することで、診断が難しいとされるてんかんの診療の質を底上げしたい考えだ。
東北大学のてんかん症例検討会は、2010年から月1回程度開催されている。13年からは遠隔会議システムを活用したことで、遠隔地の医療機関も参加が可能となり、これまでに北海道や宮崎県など全国各地の医療機関が参加している。
柿坂講師は同日、医師66人を対象に、てんかん発作症状の講義の理解度について調査した結果も紹介した。理解が進んだとの回答は、対面の22%に対し、遠隔では43%だった。柿坂講師は、「統計学的な差はみられず、遠隔式の講義でも対面で行う場合と同等の効果がある」と強調した。
そのうえで遠隔会議システムについて、「てんかんの診療に活用することは患者のアクセスの向上にはつながるが、医師と患者が1対1で行うため、インパクトに欠ける」と指摘。一方、症例検討会に活用することは高い教育効果があり、インパクトが大きいとして、「日本中、世界中の患者にいい医療を届ける足掛かりになる」と訴えた。