アレクシオン・ソリリス問題で厚労省・森審議官 「指摘は重く受け止めている」 厳しく指導も
公開日時 2018/09/28 14:40
厚生労働省の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会が9月28日開かれ、本誌が報じたアレクシオンファーマのaHUS治療薬・ソリリスをめぐる不適切プロモーション問題(本誌既報、記事はこちら)が議論となった。厚生労働省の森和彦大臣官房審議官(医薬担当)は、「適応の選択について、現場に対する情報提供のあり方に問題があるという指摘は重く受け止めている」とし、情報提供資材を含めて早急に調査し、「その上で是正すべきものがあれば厳しく指導する」と述べた。日本医師会の中川俊男副会長がこの問題を質したことに答えたもの。
この日の制度部会では、9月25日に公表された「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」が報告され、これに絡めてソリリス問題に焦点が当たった。日本医師会の中川副会長は、ソリリスの不適正使用問題の本誌報道を受け、「ガイドラインを遵守すれば防げるか」について質問した。
◎「事実関係を早急に確認」-関野医薬安対課長
関野秀人医薬安全対策課長は、「内容が事実となると、当然患者に跳ね返る、安全性にもつながる問題だ。内容について事実確認を会社の方とも面談しながら確認するのが最初だと思う」と述べた。今後調査を開始することについて、中川氏が「遅くないか」と指摘。関野医薬安全対策課長が「早急にやる」と答える一幕もあった。
◎「客観的な事実を確認する必要がある」-磯部監麻課長
磯部総一郎監視指導・麻薬対策課長は、「会社に客観的な事実を確認する必要がある」と強調。先に公表した販売情報提供活動ガイドラインのなかに、不適正使用または誤使用を誘発しないよう、項目を設けたことを説明した。磯部課長は、これまでの虚偽誇大広告以外についても、ガイドラインの策定で行政指導を行えるようになるとして、「事実関係を確認したうえでということになるが、こうしたことを守っていただきたい」と述べた。
なお、販売情報提供活動ガイドラインでは、「承認された効能・効果、用法・用量等以外の使用方法を推奨すること。なお、外国において承認等を得ている場合であっても同様であること」、「科学的又は客観的な根拠なく恣意的に、特定の医療用医薬品の処方、使用等に誘引すること」-などの行為を禁止している。
◎「是正すべきものがあれば厳しく指導する」-森審議官
森審議官は、「日常現場で対象としている患者はティピィカルな状態で、本当に効くなら何とか使いたい。もしかしたら効かない患者背景を見分けるのが難しい病気だと聞いている」と述べた。
ソリリスは全例調査の対象となっており、PMDAで一例ずつ詳細に内容を把握していると説明した。そのうえで、「改めて今回の報道を基にして、1例1例のケースについて投与の経緯についても詳しくもう一回精査しようと思っている。この内容については(ソリリスの)承認以降しっかりフォローしている状況にある。ただ、適応の選択について現場に対する情報提供のあり方に問題があるという指摘は重く受け止めている。実際に、現実にどのような資材を使ってどのような情報提供を行ったのか、しっかり調べておきたい。そのうえで是正すべきものがあれば厳しく指導する」と述べた。