英NICE最終ガイダンス 神経芽腫にdinutuximabを推奨
公開日時 2018/07/24 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は7月12日、英EUSA Pharma社の神経芽腫治療薬Qarziba(dinutuximab beta)について、NHS(国民保健サービス)における使用を推奨する内容の最終評価ガイダンスを発表した。Qarzibaは抗GD2抗体製剤。神経芽腫は、5歳以下の小児によく見られるがんで英国では毎年100人の小児が新たに罹患しているという。
同剤の推奨内容は、12か月以上の小児における神経芽腫で、少なくとも初期の化学療法に部分的に奏功を示し、次いで骨髄機能廃絶療法および幹細胞移植を施行された患者で、抗GD2免疫療法を受療していない患者への投与である。英国の神経芽腫患者のうち、約60%が同剤投与適格患者と見られている。
臨床試験では、同剤投与群において現行標準治療のイソトレチノイン投与群と比べて3年から5年の延命が示された。
NICEのMeindert Boysen医療技術評価センター(CHTE)長は、「我々はdinutuximab betaを推奨出来て喜んでいる。特に小児や少年のハイリスク神経芽腫患者には重要な治療選択肢であり、生存期間を延長する可能性を示した」と述べ、「当該企業が、NHSにとって費用対効果のある価格を設定するための評価に応えてくれたことを喜んでいる」と当該企業による薬価面での協力に感謝を示した。
サウザンプトン大学がん免疫センターのJuliet Gray准教授は、「NICEによる本日の決定は、この侵襲的がんを患った幼児の治療にとって重要な歩みを刻んだ。本剤は身体の免疫システムを活用することによって、一定の患者では、このがんを標的として効果的に攻撃することを示した」と同剤を評価した。
英国での同剤のリスト薬価は、1バイアル7610ポンド(111万8670円、1ポンド=147円換算:付加価値税除く)で、治療1コースの平均薬剤費は15万2200ポンド(2237万3400円)である。