日本血液学会と日本腎臓学会 「ソリリス使用時の注意・対応事項」で注意喚起
公開日時 2018/04/25 03:51
日本血液学会と日本腎臓学会は4月24日までに、「ソリリス使用時の注意・対応事項」をまとめ、学会会員に注意喚起した。ソリリス投与中に髄膜炎菌感染症を発症する恐れがあることについては、既に添付文書等に記載し、注意喚起しているところ。両学会によると、「髄膜炎菌感染はワクチン接種でも防げない場合があり、高熱が出た場合は髄膜炎菌感染症を疑って早期に検査をおこない、抗菌薬の投与を検討することが重要である」と喚起した。また、ソリリス投与中の患者への確実な診療体制の確保や、予防・治療についての具体的方策を明示した。
両学会の注意・対応事項によると、特に侵襲性髄膜炎菌感染症は、髄膜炎や髄膜脳炎以外にも、髄膜炎症状を伴わない菌血症として突発的に発症することがあると指摘。発症直後は白血球増多やCRPの上昇もなく、インフルエンザや感冒との鑑別が難しく、24時間以内の早い経過で敗血症により死亡しうる急性劇症型があるため、注意が必要であるとした。
◎患者カード提示や診療端末への警告表示で「確実な診療体制の確保」を
その上で「確実な診療体制の確保」として、患者が受診する際に、保険証とともに患者カードを提示して頂くよう注意喚起を医師に促した。またソリリスを投与している医療機関においては、診療端末で警告が表示されるようにするなど、ソリリス投与中であることを周知する手段を講ずるよう求めた。さらに、ソリリスを投与している医療機関に速やかにアクセスできない場合は、発熱時に受診する連携医療機関をあらかじめ定めておくよう求めている。
◎ワクチンの2回接種や抗菌薬の予防的投与を検討
このほか「予防・治療」として、免疫抑制剤やステロイドを内服している場合は、保険適応に留意しつつワクチンの2回接種や抗菌薬の予防的投与を検討する。キノロン系抗菌薬を手持ちとして、早期の受診が困難な場合は、軽度の発熱でもまず内服してもらい、その後に必ず受診して頂くとした。さらに、受診時に血液培養を採取するとともに、セフトリアキソン等の静注抗菌薬の投与を開始することも明記している。
◎電子カルテ等での注意喚起の文書も例示
例文は以下の通り。「ソリリス使用中の患者です。髄膜炎菌、インフルエンザ桿菌、肺炎球菌など、莢膜を有する細菌への易感染性を示します。発熱、頭痛、嘔気/嘔吐など体調不良を訴えて来院された場合には髄膜炎菌感染症(髄膜炎様の症状が全くなく、発熱のみのことも多い) を考え、(1) 血液培養2セット、(2) CTRX(セフトリアキソン)の速やかな開始、(3)髄膜炎を疑う場合は、髄液検査で定性・一般細菌培養提出、(4)サージカルマスクなどによる飛沫感染対策- 特に(1)と(2)はできるかぎり迅速にお願い致します」-。