AAM報告書:患者の後発品アクセスに危機感
公開日時 2018/03/19 03:50
米ジェネリック医薬品協会(AAM)はこのほど、米国のジェネリック医薬品(GE)の低薬価や低薬価のために採算性を考慮、新規市場参入が困難になることなどから現状のままでは、患者がGEにアクセスできなくなる恐れがあるとする内容の報告書を発表した。
報告書は、「米国の手ごろな価格の薬剤の将来を確保する:米国の患者のために品不足を回避し、競争を確保する」(Ensuring the Future of Accessible Medicines in the US: Avoiding Shortages & Ensuring Competition for America’s Patients)と題され、後発品の価格がかつてなく早いスピードで下がることを示した。一方で、医薬品市場全体では今後5年間でブランド品の特許切れにより最高1400億ドルの薬剤費節減が見込まれるものの、新規後発品の市場参入を促すような政策がなければ、それは実現しないと指摘した。さらに、古い後発品は購入者(病院や診療所)の統合により、安く買いたたかれ、経営的に厳しい状況に追い込まれているとした。そのため、後発品に対する適切な育成策がないと品不足を招来し、患者の健康を脅かす事態になると警告した。
また、ブランド品と後発品の価格について、単純にパーセンテージで比較することに否定的な考えを示した。一例として、2014~15年にかけて、生物学的製剤・ヒュミラは22%値上げされた。これは金額に換算すると2億7000万ドルに相当する。一方で、泌尿器科用剤塩酸フェナゾピリジンの後発品は同時期に121%の値上げをしたが、金額ベースでは4000ドルにすぎないとした。
医療用医薬品はすべて値上がりしているわけでなく、後発品の値下がりはブランド品の値上げの陰に隠れてしまい、注目されないため、その辺の事情に理解を求めた。
また、ブランド品の特許切れに関して行政は、先発企業がむやみに特許を延長させることを放置するのでなく、後発品やバイオシミラーが特許切れ時点でタイムリーに後発品を上市させるような政策環境を整備すべきと指摘した。IQVIA(旧IMSヘルス)のデータによれば、今後5年間で、特許切れ後すぐに後発品などに切り替えた場合、ブランド品の薬剤費を1400億ドル節減可能という。しかし、タイムリーに後発品やバイオシミラーを参入させるような政策がない限り、それを実現するのは不可能だと主張した。