もし大人が『君たちはどう生きるか』を読んだら
公開日時 2018/03/15 05:00
情熱的読書人間榎戸誠【大人のための書】『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎著、ポプラポケット文庫)を36年前に読んだときには、少年時代に読んでおけばよかったと感じたが、今回、読み直してみて、これは大人のための書でもあると気がついた。【コペル君とおじさん】主人公は、「コペル君」という綽名を持つ、日本が急速に軍国主義化していった戦前の中学1年生である。2年前に父を亡くし母と暮らしているが、母の弟である「おじさん」が、何かとコペル君の相談に乗ってくれたり、知らない知識の世界への目を開かせてくれる。すなわち、本書は、少年の成長物語であると同時に、少年へのアドヴァイスはどうあるべきかを示すケース・スタディでもあるのだ。【Note】おじさんは、いずれコペル君に読んでもらうつもりで、密かに「Note」を書...