薬経連・山村会長 薬局は薬のセーフティーネットに 自らデータの保有・解析へ
公開日時 2018/02/20 03:51
中小薬局の経営者などで構成する保険薬局経営者連合会(薬経連)の山村真一会長は2月18日、総会後に開かれた会見で、医薬品の副作用などの安全性について、「薬局がデータを自ら報告する。薬局としてデータを保有している姿を示したい」と述べた。山村会長は、「薬局は薬のセーフティーネットだと宣言して自分たちで作っていく。具体的なアクションに向けて一歩前に向けて進めていく」との考えを表明。日本全国から安全性報告を集積し、解析するデータセンターを早ければ年内にも稼働させる構想があることも明らかにした。18年度調剤報酬については、「内部事情で、大手、門前、門内叩きといういびつなものを業界として容認したような形はあまりにもおかしい」と指摘した。
山村会長は、同日の講演で、薬剤師の職能について、「国民を薬物による有害事象から守る。ライフセーバーのような仕事ではないか。トラブルがあった時にはすぐに間に入るように監視する役割をもつ」と述べた。一方で、現在の保険薬局では十分こうした機能を発揮していないとして、職能団体としてエビデンスを集積する考えを強調した。これまで薬剤師による有害事象の報告は因果関係の有無を判断することが難しく、薬剤師による副作用報告を阻む現実もあった。山村会長は、有害事象の有無によらず全国各地から報告を集め、これを解析する形での運用を視野に入れていることを明かした。
18年度調剤報酬改定で新設された、地域支援体制加算の要件のひとつには、「当該保険薬局以外の医療従事者等に対し、医薬品に係る医療安全に資する情報の共有を行うにつき必要な体制が整備され、一定の実績を有していること」がある。山村会長は、点数を取りに行く保険薬局が出ることでの「歪みが出てくることを懸念する」として、実績要件などについては猶予期間を1年間設けることなどを要望した。
◎田代副会長「長い目で見ると大手チェーンの品質が向上」
18年度調剤報酬では、プラス0.19%引き上げた一方で、外枠で「いわゆる大型門前薬局に対する評価の適正化」として、国費ベースで約60億円引き下げた。山村会長は、大手を対象とした引下げがあったことを指摘した上で、中小薬局にとっては、「時間的猶予をもらった」との見方を示した。ただ、処方箋集中率の影響だけでなく、地域支援体制加算や、基準が引き上げられる後発医薬品調剤体制加算について、取得するハードルの高さも指摘。「頑張って初めてマイナスが出なくなる」と述べた。
これまで調剤報酬の点数は、後発品のシェア向上や薬歴、お薬手帳の浸透など政策的な誘導に用いられてきたが、「もうそのステージは終わった」とも指摘。18年度改定では、調剤基本料で後発品の使用率20%未満の薬局で初めて減算される仕組みが導入されることを引き合いに、「大きくステージは変わってきている」との認識を示した。その上で、調剤報酬の簡素化など点数体系や処方箋集中率以外の新たな要件など、新たな考えを示す姿勢を強調した。
田代健副会長(薬事政策研究所代表取締役)は、「大手叩きを繰り返したとすると、大手によるかかりつけ薬局化、M&Aで買収して、どんどん割に合わない薬局は減らしていく。3回繰り返せば、大手によるかかりつけ薬局化が完成していくのではないか」との考えを表明。「長い目で見たときに大手チェーンの品質が上がり、中堅どころが、一番厳しくなるだろう」と見通した。