米FDA CAR-T療法YescartaをB細胞リンパ腫の適応で承認 ギリアドの製品群に
公開日時 2017/10/24 03:50
米食品医薬品局(FDA)は10月18日、米カイトファーマ社(本社:カリフォルニア州サンタモニカ)のCAR-T(キメラ抗体受容体T細胞)療法Yescarta(axicabtagene ciloleucel)についてびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の適応で承認した。カイトファーマ社は、米ギリアド・サイエンシズ社に今年8月30日、総額119億ドルで買収しており、同剤はギリアド社の製品群に加わることになる。
CAR-T療法とは、患者のT細胞を採取、リンパ腫細胞を標的としたキメラ抗原受容体を発現するように遺伝子改変させ、患者の体内に戻す治療法だ。同剤は、FDAが今年8月30日にスイス・ノバルティス社の急性白血病治療薬Kymriahを承認して以降、2剤目のFDA承認の遺伝子療法製品となった。
適応症は、少なくとも2種類の前治療が奏功しないか、それらを受療後再発した、成人におけるDLBCLである。DLBCLには、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)および濾胞性リンパ腫(FL)に起因したDLBCLを含む。同剤は、FDAから優先審査、画期的医薬品(BT)および希少疾病薬の指定を受けていた。
FDAのScott Gottlieb長官は、「本日は、重篤な疾患の治療に対する新たな科学パラダイム全体の進歩に大きな歩みを刻んだ。遺伝子治療は、ここ数十年で致死的で治療不可能ながんに対する望みを与えるコンセプトから実際に使える治療法となった」と述べた。FDAは、CAR-T療法など遺伝子療法の画期的製品について近々、一層の開発迅速化を図る包括的な政策を発表することを明らかにしている。
ギリアド社のJohn Milligan社長兼CEOは、同日が治療選択肢がなくなり新たな治療法を待っていたDCBCL患者にとって重要な日になったと指摘したうえで、「ギリアド社およびカイト社両社のイノベーション力、強みおよび活力を合体させ、遺伝子療法研究を前進させ、他のがん種の患者にもオプションを提供できるよう目指していく」と今後への意欲を語った。
DLBCLは、非ホジキンリンパ腫(NHL)の最も多くみられるタイプであり、米国では毎年新規に72000例がNHLと診断されるが、そのうちの約3分の1がDLBCLという。