GE薬協 銘柄別収載と初収載の現行水準維持を主張 中医協薬価専門部会
公開日時 2017/05/18 03:50
日本ジェネリック製薬協会は5月17日の中医協薬価専門部会で、薬価改定の際には、「薬価の集約をせず、銘柄ごとの市場実勢価格を適切に反映した制度とすべき」と主張した。また、初収載の薬価については、2012年度の診療報酬改定から3回連続で引き下げられてきた経緯を踏まえ、「これ以上の初収載の引下げはしないでいただきたい」と要望した。同協会の吉田逸郎会長は、採算が取れずに収載されない外用薬や注射薬が増加してきていると説明。今後は、さらに「気管支喘息治療の吸入剤などデバイスにコストがかかるものや臨床試験を必要とし開発コストがかかるものが主流になる」と指摘し、安定供給の観点からも価格維持の必要性を訴えた。
後発医薬品の初収載の価格引下げが行われてきた背景には、薬価調査で長期収載品を上回る乖離率が示されてきたことがある。吉田会長は、「長期収載品から後発医薬品に置き換える際には、これまで得ていた値引き額を確保したいという心理がどうしても働く」と説明。価格の安い後発医薬品では必然的に引き下げ率が大きくなってしまうと主張した。一方で、さらなる引下げが進むと、収載される品目の減少に加え、後発医薬品への置き換えが進まなくなる可能性も指摘した。吉田会長は、「初収載の薬価は仮の薬価だ」と指摘。市場実勢価格を鑑みたときに現在の水準が妥当であるとの見方を示した。
◎銘柄別収載で”国民負担の軽減”と”医療の質向上”を実現
同協会が同日開いた会見では、現在の3価格帯から、銘柄別収載への変更を主張した理由についても説明した。3価格帯が導入された背景には、熾烈な価格競争が起こり、複数の価格帯が存在したことがある。安定供給や、後発医薬品の使用促進の観点から価格帯の集約の必要性が提起された。ただ、初収載の薬価引下げが続き、現在は適正な水準になったとの認識を協会側は表明。現在は、銘柄別収載をし、市場実勢価格に合わせても、価格帯の数はそこまで増えないと見通した。
その上で、銘柄別市場実勢価格主義という“大原則”を優先することで、薬価と市場実勢価格の差を適切に国民に還元できるとの考えを表明。さらに、各社の取り組みが異なる中で、製品品質や製造工夫など、ジェネリックメーカー同士の競争も起こり、産業として発展するとの考えを示した。
一方で、銘柄別収載とすることで、各社の経営の予見性が高まり、製剤工夫などの取組が促進されるとの見方も表明。昨年12月に4大臣で合意された「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に掲げられた“国民負担の軽減”と、“医療の質向上”を実現できると強調した。
そのほか、毎年薬価改定で懸案となる、中間年の薬価改定については、「対象を価格乖離の大きな品目に限定し、価格乖離の小さな品目と大きな品目とをひとまとめにしない」ことを求めた。