英NICE NHS推奨薬剤上限を3年以内2000万ポンドに
公開日時 2017/03/23 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は3月15日、NHS(国民保健サービス)で使用する薬剤1剤当たりの薬剤費がNHSでの使用推奨後3年以内に年間2000万ポンドを上限として設定すると発表した。それを超過した場合には予算投入を停止、NHSは製薬企業と当該薬剤の価格を下げるための交渉を行う新規プログラムを導入する。
NICEは、かねてから臨床ガイダンスでNHSでの使用非推奨の薬剤が増加して患者の新規薬剤へのアクセスの遅延が批判される一方、抗がん剤における非推奨薬剤の抗がん剤ドラッグファンド(CDF)での使用の増加による国家予算への圧力からCDFから薬剤を通常のNHSでの使用に変更するなどの対策を講ずるなどしていた。NICEはこのような環境下で評価システムなどの改善策を模索、2016年10月、今回のプログラムのベースとなる、「予算影響閾値」として2千万ポンドを上限とするなどNICEの評価システムや予算投入についての改定案を発表、2017年1月13日まで改定案について意見募集を行っていた。
NICEは、今回の改定を、患者に速やかにイノバティブかつ費用対効果を持つ医薬品を提供しつつも、予算の際限ない流出を抑制しNHSの財政を持続させることを両立させる手段と位置付けている。
改定では、総薬剤費に2000万ポンドの上限を設けたほか、主な項目は、NICEは今回、特別に価値を有するとされる治療法で、増分費用対効果比(ICER)が1QALY(質調整生存年)当たり1万ポンド以下の治療法に対しては新たに迅速評価システムを導入することになった。また、高度医療技術プログラムにおいては、希少疾患を対象として、30万ポンドを閾値とした。これは、通常のNHSでの使用推奨薬剤のICERが1QALY当たり2万ポンドから3万ポンドは変更していないので、その10倍にあたり、NICEは、必要な患者には「柔軟な対応をした」としている。昨年10月の案では、この閾値は1QALY当たり10万ポンドだった。
NICEは、今回の決定を4月1日以降に受け付けた申請分から実施する。