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薬価研・加茂谷委員長 薬価制度改革「業界スタンスを明確に示さない限り明日はない」

公開日時 2017/02/10 03:51

日薬連保険薬価研究委員会の加茂谷佳明委員長は2月9日、政府の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を受けた今後の薬価制度改革を見通し、業界として明確なスタンスを明確に示さない限り「業界の明日はない」と危機感を表明した。東京都内で開催されたレギュラトリーサイエンス学会のシンポジウムで述べたもの。加茂谷委員長は基本方針に明示された、①国民皆保険の持続性、②イノベーションの推進、③国民負担の軽減、④医療の質の向上-の4つのキーワードに対し、「二律背反ということではなく、4つをハーモナイズさせる提案を業界サイドからしなければいけない。そうでなければ医薬品業界の将来は非常に暗いと思っている」と述べ、極めて厳しい選択を業界が迫られている状況を滲ませた。


薬価制度改革をめぐる議論は中医協薬価専門部会を舞台に火ぶたを切った。5月までに1stステージと、5月以降の2ndステージに議論は分かれるが、すでに市場拡大再算定や中間年の薬価調査のあり方などで、業界の存亡にかかわる議論が始まっている。加茂谷委員長の発言は、序盤戦とは言え、これまでの議論のシビアさを浮かび上がらせるものと言える。最大の焦点となる原価計算方式や類似薬効方式の見直しの議論が近々に迫る中で、薬価制度の透明性確保と、イノベーションの推進を柱とした業界からの提案が必須の状況だ。


◎基本方針策定は「必然の動き」 薬価制度には“透明性”が必要



「財政的なことから議論が惹起されたのではなく、薬価制度、薬価算定が 国民の目線から見た時に分かりづらくなっている。透明性の観点から、理解されているかどうかが根幹にある」--。加茂谷委員長は、基本方針について業界にこう理解を求めた。


薬価制度改革をめぐる議論は、昨年末大きく動いた。11月の抗がん剤・オプジーボの緊急的な50%薬価引下げの決定。その後、1か月余りで、4大臣で薬価の毎年改定を含む「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」策定に至った。菅官房長官が「鉄は熱いうちに打て」と語ったように、国民負担軽減を掲げる官邸主導による、スピードをもった改革の断行は、業界に激震を走らせた。

加茂谷委員長は、「官邸サイドが意向をもって、ここまで強い指示をしたのは前代未聞ではなかったか」と指摘。「想定外の激しい動きがあった」との見方も示したが、従来からの業界の課題であったことを踏まえると、検討時期の前倒しはあったものの、「基本方針の流れはひょっとすると必然の動きだったのではないか」と述べ、今後の議論が業界の命運を握るとの見方を示した。

今後の議論では、“イノベーション推進”について発信、広く理解を求める考えを表明。5月以降に新薬創出・適応外薬解消等促進加算の議論もあるが、原価計算方式や類似薬効比較方式の議論でも、「イノベーションの評価について算定できるルールを提案させていただきたい」と述べた。「業界としてもイノベーションの推進等を中心としたしっかりした打ち手、提案をしていく必要性がある。リスクとして捉えるのではなく、ポジティブにチャンスとして捉え、業界の発展のために頑張っていきたい」と決意をにじませた。


ただ、「イノベーションとは何か業界で議論しないと言葉が一人歩きしてしまう」との懸念も示し、業界内で十分にコンセンサスを取る必要性も強調した。

 

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