大阪市大・河田教授 肝性脳症は「認知症、うつ病との鑑別重要」 肝臓専門医と精神科医の連携促す
公開日時 2017/01/25 03:50
大阪市立大学・肝胆膵病態内科学教授の河田則文氏は、あすか製薬のプレスセミナーで肝性脳症の治療について講演し、肝性脳症にみられる昼夜逆転、見当識障害、意識が朦朧とするなどの症状から「認知症やうつ病との鑑別が重要」と指摘し、適切な診断と治療には肝臓専門医と精神科医の連携の必要性を強調した。
あすか製薬は2016年11月に肝性脳症治療薬リフキシマ錠(一般名:リファキシミン)を発売した。肝性脳症は、肝硬変など肝機能の低下で、体内で産生されるアンモニアを肝臓で代謝、解毒できず、精神・神経症状を発症するとされる。しかし、症状が認知症やうつ病に似ているため、肝性脳症と気づかず、誤った治療をされつづけるおそれもあるといい、鑑別の重要性を指摘した。診断には、それら症状や羽ばたき振戦と呼ばれる指の震えや独特の臭いが伴う肝性口臭といった身体所見のほか、血液中のアンモニア濃度の上昇の血液検査所見、肝機能検査など専門性を要する検査が必要であり、肝臓専門医との連携が必要になるという。
薬物治療では、第一選択としては腸管内のpH低下、排便促進による腸管からのアンモニア産生・吸収を抑制する合成二糖類を挙げた。副作用や効果から判断して次の選択肢として、アンモニア発生原因の腸内細菌の活性を抑え、アンモニアを発生抑制するリフキシマを位置付けた。他の抗菌薬が適応外で使われているケースがあるとしたが、リフキシマは適応の承認を得ているうえに、難吸収性の特性から、途中で吸収されず、腸内に届く仕組みがメリットだとした。