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薬価抜本改革・基本方針 4大臣合意 年明けから具体案検討へ

公開日時 2016/12/21 03:52

塩崎厚労相、麻生財務相、菅官房長官、石原経済・財政相の4大臣は12月20日、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を決定した。きょう開かれる経済財政諮問会議に報告する。基本方針は、本誌既報の通り(記事はこちら)、大手事業者等による全品を対象とした薬価調査を行い、「価格乖離の大きな品目について薬価改定を行う」ことを盛り込んだ。基本方針を踏まえた薬価制度抜本改革の具体的な内容は、年明けから1年をかけて中医協を中心に議論が進められる。市場拡大した製品の年4回の薬価見直しなどの論点について集中的に議論を行い、議論が一巡した5月頃に業界ヒアリングを行い、年内に改革案をまとめる考えだ。

「国民皆保険の持続性とイノベーション推進を両立しながら、国民が恩恵を受ける国民負担の軽減と医療の質向上を実現する観点から基本方針にもとづいて薬価制度抜本改革に臨む」――。塩崎恭久厚労相は12月20日の閣議後の会見でこう語った。

抗がん剤・オプジーボが年間1兆7500億円にのぼるとの推計に端を発した高額薬剤問題は、毎年薬価改定を含む薬価制度の抜本改革に議論が波及。高齢化に伴う社会保障費の増大が見込まれる中で、国民負担を懸念する官邸からトップダウンで薬価制度の抜本改革へと議論が進んできた。菅官房長官が11月25日の経済財政諮問会議で、「適応拡大の際の価格の見直しは必須。毎年の価格調査と改定が必要だ。鉄は熱いうちに打て」と述べるなど、スピードをもった改革の断行を求められていた。

基本方針では、焦点となった薬価の毎年改定について、国民負担抑制の観点から市場実勢価格を把握することの必要性を指摘。全品を対象とした薬価調査の実施を求めた。現在は、2年に1回の薬価調査を行うが、四大卸など大手事業者等に範囲を絞り、薬価調査を行うこととした。調査方法については、「薬価調査自体の見直しを検討し、来年中に結論を得る」ことも盛り込んだ。また、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)などを活用することで効能追加等に伴う一定規模以上の市場規模拡大した製品を洗い出し、新薬収載の機会を活用して年4回薬価を見直す。

実際、こうした薬価の見直しも、2017年中のスタートを目指すという間髪を置かないものとなった。ただ、改定年の狭間の年の薬価調査については、18年度に診療報酬・薬価改定が実施されることから、実際の導入は2019年度になる見通しだ。中医協での議論もスケジュールを前倒し。例年とは異なり、中医協の場だけにとどまらない厳しい議論が進められることとなる。


◎新薬創出加算、外国平均価格調整などが論点に



一方で、年明けにもスタートする薬価制度の抜本改革に向けた議論で焦点となりそうなのが、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の在り方だ。基本方針では、「ゼロベースで抜本的に見直す」ことを盛り込んだ。費用対効果評価の本格的な導入などにより、「真に有効な医薬品を適切に見極めてイノベーションを評価し、研究開発投資の促進を図る」としている。


そのほか、原価計算方式や類似薬効比較方式など薬価算定の根拠の明確化や、薬価算定プロセスの透明性向上、外国平均価格調整の法帆の改善などが論点となる。

製薬産業を「長期収載品に依存するビジネスモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換する」ために、薬価制度の抜本的な改革が行われることになる。
 

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