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諮問会議 薬価毎年改定で一致 対象範囲が焦点 厚労省はNDBや経時変動調査活用視野

公開日時 2016/12/08 03:52

政府の経済財政諮問会議(議長:安倍晋三首相)が12月7日開かれ、民間議員、厚労省ともに少なくとも年1回薬価を見直す方針で一致した。一方で、薬価改定の対象品目については、民間議員が全品とすることを求めたのに対し、塩崎恭久厚労相は明言を避けた。厚労省側は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)データや経時変動調査を活用し、全品目を対象とした上で、効能効果の追加などで当初の予想販売額を上回る医薬品や後発医薬品などかい離率が拡大した製品を網にかけ、こうした製品の薬価を機動的に見直す考えだ。この日の諮問会議で安倍首相は、麻生太郎財務相、菅義偉官房長官、石原伸晃経済・財政相の4大臣に年内に基本方針を取りまとめ、経済財政諮問会議に報告することを指示した。毎年改定に対する製薬業界や卸、医療関係団体などからの反発は必至だが、菅官房長官を中心に政府内に、全品の毎年薬価改定を推し進める声が大きくなる中で調整が進むことになる。


厚労省側は、この日の諮問会議に、“市場実勢価格・量を機動的に少なくとも年1回薬価に反映する”方針を打ち出した。対象として示されたのが、抗がん剤・オプジーボに代表されるような、効能追加などで市場規模が急速に拡大した製品と、競合品や後発医薬品収載などの影響でかい離率が拡大した製品だ。


◎既存のデータ、調査活用で医薬品卸や医療機関の負担増少なく


効能追加が承認され、当初の予想販売額を超えて市場規模が急速に拡大した製品については、年4回の新薬収載の機会に薬価を見直す考えを厚労省側は改めて示した。こうした薬剤をあぶりだすのに用いるのが、NDBデータだ。NDBデータでは、薬価本調査で取得できる一部の医療機関の情報を把握できない側面はあるものの、薬剤が投与された総量を把握することができる。薬価を考慮すれば、市場拡大が急速に進んだ製品を絞り込むことが可能になる。

一方で、後発医薬品など、かい離率の把握には、経時変動調査を活用する考え。薬価調査には、薬価基準改正の基礎資料となる本調査のほか、実勢価格を把握し本調査の精度を高める目的で、年に3回経時変動調査が実施されている。厚労省側は、経時変動調査の結果を活用することで、薬価差が拡大している製品を把握し、薬価に迅速に反映させる考え。ただ、経時変動調査は、本調査に比べてデータを集積する医療機関のサンプル数が少ないことなどから、調査に基づいた薬価の引き下げ幅については少し幅を持たせることも盛り込んだ。


日本医師会が、医療機関や調剤薬局、保険者、医薬品卸などの負担、システムのランニングコストの負担などに懸念を示すなど、毎年薬価改定の負担増を懸念する声があがっていたが、すでに構築されているビッグデータや、調査結果を活用することで、負担増はが少ないソフトランディングで薬価の毎年改定を導入したい考えだ。


ただ、薬価調査をめぐっては、民間議員が、「正確性などについて政府として検証し、それを踏まえて調査自体の見直しを検討、来年中に結論を得る」ことを求めており、薬価調査の在り方も今後の焦点となりそうだ。


◎企業再編も視野に産業構造の転換求める バイオシミラーなどに力



そのほか、厚労省側から企業再編も視野に入れ、より高い創薬力をもつ産業に転換することの必要性も打ち出された。これについては、民間議員からも「産業構造の転換は重要」などの声があがった。具体的には、バイオシミラーの数量シェア目標設定を含め、革新的バイオ医薬品やバイオシミラーの研究開発支援方策などの拡充や、バイオベンチャーの支援などを盛り込んだ。一方、ジェネリックメーカーについては、規模拡大を念頭に、市場での競争をさらに促進することを求めた。


一方、民間議員もイノベーションを推進することの必要性を指摘。新薬創出・適応外薬解消等促進加算について、効果的・効率的な制度となるよう、ゼロベースで抜本的に見直すことも提案した。


 

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