諮問会議 民間議員が高額薬剤問題でオプジーボ以外の対象選定求める
公開日時 2016/10/24 03:51
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)が10月21日開かれ、民間議員から抗がん剤・オプジーボ以外にも高額薬剤に該当する対象品目を選定するよう求める意見が示された。民間議員は「毎年薬価改定、もしくは社会保険として必要な医薬品の適時適切に収載し、費用対効果を踏まえた価格付けを行う仕組みへ、薬価制度の抜本的な改正が必要だ」などと主張した。また、一人当たり医療費の地域差半減に向けた都道府県の責任などが指摘された。麻生太郎財務相は、「経済財政一体改革の5000億円の目安を達成すべき。社会保障改革を前倒しで実行すべきだ」と社会保障制度改革の実効性を高めるよう主張。安倍首相も塩崎厚労相に改革の具体化に向けた検討を加速するよう指示した。諮問会議は、年内に2、3回の議論を行う予定で、2017年度予算編成の基本方針に反映される。
この日の諮問会議で民間議員は、10月14日の諮問会議に引き続き、効率的な医療・介護を提供する上で、社会保障費拡大の主要因である薬剤費の伸びを抑制することの必要性を指摘した。
2017年度予算編成でターゲットの一つとされる高額薬剤、特に抗がん剤・オプジーボについて厚労省は、「緊急的な対応」として、臨時薬価引下げによる価格面での対応に加え、使用される医療機関、患者を絞る“最適使用”の推進による総量に踏み込んだ施策を実施する、二本柱での対応を進めている。塩崎厚労相はこの日の諮問会議で、「例えば、オプジーボは価格と量から議論。高額薬剤について無為に無駄な薬が使われないようにしたい」と述べ、理解を求めた。
一方で、民間議員は、「一薬ではなく、同じような問題がたくさんあるのではないか」と指摘し、厚労省側に現状を明らかにするよう求めた。
そのほか、民間議員は、薬剤費の伸びの抑制に向けて、薬価制度の抜本的な改革に加え、▽生活習慣病に対するガイドライン、いわゆるフォーミュラリの導入の必要性、▽一般名処方の推進を通じた後発医薬品の普及、▽調剤報酬の成果の検証と必要な措置―などを提案した。そのほか、医薬品関連では、OTC類似の医療用医薬品の追加的な自己負担の必要性も主張した。
◎厚労省 “入院医療費”地域差半減に向け縮小、目標に盛り込む
もう一つ、民間議員が医療・介護の効率化に向けて主張するのが「一人当たり医療費の地域差半減」だ。一人当たり医療費の地域差上位5位、下位5位の都道府県を例に、NDBデータを活用して年齢別、疾患・診療行為別に差を分析し、“見える化”することを求めた。その上で、都道府県が医療費適正化計画や地域医療構想について責任を持って推進することの必要性を指摘。専門医等の定員調整、病床調整などを行う権限の付与、医療給付金と保険料の連動性を高める、重症化予防など医療費適正化の取り組みに応じて調整交付金などを大胆に傾斜配分することなどを主張した。
また、民間議員が前回の10日に「地域差の主因は入院費だ。 厚労大臣には、入院費も含めて半減目標に取り組んでいただきたい」と主張。これまで厚労省側は、1人当たり医療費の地域 差半減目標に入院費は入れないとしていたが、この日の諮問会議で塩崎厚労相は「(地域医療構想など)政策的手段を駆使して入院医療費の地域差半減に向けて縮小する」とし、厚労省としても入院医療費半減に取り組む姿勢を示した。