G7 伊勢志摩首脳宣言を採択 AMR対策強化 企業の研究開発にインセンティブも
公開日時 2016/05/30 03:50
主要7か国の首相が集まるG7サミットは5月27日、保健分野で薬剤耐性(AMR)対策の強化などを盛り込んだ「伊勢志摩首脳宣言」を発表した。AMR対策では、抗微生物剤を合理的に使用するとともに、安全かつ効果的で品質が保証された薬剤へのアクセスを確保することなどが明記された。そのほか、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の促進、研究開発、イノベーションを促進などが盛り込まれた。
健康分野でのより具体的な施策を明記した「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」は、①公衆衛生上の緊急事態への対応強化のためのグローバル・ヘルス・アーキテクチャー(国際保健の枠組み)の強化、②強固な保健システムと公衆衛生危機へのより良い備えを有したUHCの達成、③AMR対策の強化、④研究開発とイノベーション−−が柱となっている。
◎抗微生物剤 適正使用推進で使用合理化 製薬企業に生産維持を求める
AMR対策では、「人・動物の抗微生物剤の適切かつ適正な使用の推進を通じた有効性の維持」を優先課題に位置付けた。国家微生物剤適正使用プログラムの策定・実施などを通じて適正使用を推進することで、有効性を維持する。そのための国際強調の重要性を強調した。一方で、医療従事者や患者などの不適切な使用を防ぐために、意識を向上させることの重要性も指摘した。
使用の合理化を進める一方で、必須抗菌薬の生産を維持することの必要性も指摘。既存の抗菌薬が利用できなくなったり、市場が撤退したりしないよう、製薬企業にインセンティブを与える取り組みなども提唱した。抗微生物剤適正使用プログラムに関連する基礎・応用研究、開発への資金提供や、国際的な研究基盤の活用、薬事規制面の国際協力などを明記した。
そのほか、高齢化を見据え、認知症などの研究開発の重要性を強調した。脳機能についての持続的研究・国際連携推進に加え、医療・ICT・ロボット支援を統合して家族や社会の負担軽減なども盛り込まれた。