次世代医療ICT基盤協議会 データ利活用で医療、介護等分野のプログラム開示
公開日時 2016/03/31 03:52
政府の次世代医療ICT基盤協議会は3月30日、レセプトや特定健診データなど「医療等分野データ利活用プログラム」をまとめた。6年間100億件超のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)や、医薬品の安全対策に活用する「医療情報データベース基盤整備事業(MID-NET)」などの整備スケジュールを明示した。今後は個人情報保護法など関連法規や体制面の整備を進める。その上で製薬企業など民間事業者がデータを活用する場合の“医療情報に関する代理機関(仮称)”を2018年度中に設置し、20年度からの本格運用を目指す。
医療・介護等分野におけるICTについては、昨年6月30日に策定された日本再興戦略改訂2015で徹底が盛り込まれた。政策目的や研究機関での利活用だけでなく、民間ヘルスケアビジネスでの活用できるよう整備し、医療の質向上や研究開発の推進、医療・介護適正化を推し進めたい考え。並行して、医療等分野のID、いわゆる医療マイナンバーの本格導入や、電子カルテデータの標準化の環境整備も2020年度を目途に体制整備が進められる。
レセプトや特定健診のデータの利活用については、オンサイトリサーチセンターを開設することで、セキュリティー環境を確保できなかった利用者にも活用の道を開く考え。今年夏を目処にオープン・データを作成する。この過程で民間企業の要望を入れていく方針だ。レセプトデータに基づいた傷病名を把握できるだけでなく、検体検査結果や画像データ、医師の所見などテキストデータ、ヘルスケアデータや生活情報なども把握できる体制を整える。
こうした医療情報をデータの標準化などで広く収集するデータベースとしては、レセプト情報等データベース(NDB)に加え、医療情報データベース基盤整備事業(MID-NET)、国立病院機構診療情報集積基盤(NCDA)、DPCデータベース管理運用システム(DPCデータベース)、診療情報直結型全国糖尿病データベース事業(J−DREAMS)などがある。レセプトデータは2009〜15年度10月診療分までで106億5300万件、特定健診等データは2008〜13年度分までで1億4200万件。DPCデータは約800億件(レコード数)/年程度などを想定する。MID-NETは、東北大、千葉大、東京大、浜松医大、香川大、九州大、佐賀大の附属病院、NTT東日本2病院、北里大学(4病院)、徳洲会グループ(10病院)から18年度時点で約300万人のデータを収集し、医薬品の安全性対策に活用する考えだ。将来的には、データベースと人工知能(Ai)を連携させることで、医師の診断サポートや副作用対策、新たな治療法の確立などにつながることも期待される。
◎全国がん登録 18年度から調査研究での効果的な利活用
このほか、疾患・領域別のデータベースとしては、全国がん登録は18年度末までの調査研究での効果的な利活用を目指す。そのほか、▽小児と薬情報収集ネットワークサービス事業(16年度から利活用に向けた検討を開始)、▽神経・筋疾患患者情報登録システム(Remedy)(15年度から情報開示依頼を受けた場合に研究内容の審査に基づいて集計結果を提供)、▽小児慢性特定疾患登録管理データ運用事業(18年度から小児慢性特定疾病の集計結果を提供、検討中)、▽難病データベース(仮称)(18年度から指定難病の集計結果を提供、検討中)—の活用を視野に入れている。