EMA 自閉症治療薬開発GLを策定へ
公開日時 2016/03/10 03:50
EMA(欧州医薬品庁)は3月4日、製薬企業向けに自閉症スペクトラム障害(ASD)の治療薬開発ガイドライン案を発表した。同日から同案への意見募集を開始した。
アスペルガー症候群を含むASDに対しては、行動療法や社会への適応能力改善への教育プログラムなどで対応する以外には、ASDにより引き起こされる問題行動を管理するために特化した、承認された有効な治療薬は存在しない。
このため、EMAは、ASD治療薬の開発を促すため、製薬企業向けに初めてとなる開発ガイドラインを策定することを決めた。
ガイドラインでは、①ASD患者を対象とした臨床試験実施の際の患者選択における診断法や試験組み入れ基準、②当該薬剤の有効性評価法、③臨床試験デザイン法、④安全性評価など-についての指針を示した。ガイドラインに対する意見募集の締め切りは、2016年8月31日となっている。募集した意見は、最終案をまとめる際に考慮される。
世界保健機関(WHO)によると、世界では、少なくとも160人の小児のうち1人がASDと報告されるが、同疾患の症状や診断法への関係者の認知度が低いために、ASD患者を発見することを困難にしているという。
ADSは、一般的には先天的な脳機能障害とされているが、未知な部分が多いといわれる。3歳前ごろから症状を発現、成人になっても持続するとされる。症状は、行動障害、知的障害など患者によって多様な症状を呈し、重症度も非常に軽度から重度までさまざまである。その症状は、社会的コミュニケーションをとることの難しさや、行動が制限されること、奇異な行動をとること、あるいは、一定の行動の過剰な繰り返しなどに特徴づけられている。