米FDA ジカウイルス感染予防で献血制限を勧告
公開日時 2016/02/23 03:50
米医薬食品局(FDA)は2月16日、ジカウイルスの輸血による国内の感染を予防する目的で、新規ガイダンスを発表した。ジカウイルス感染の恐れがある地域を訪問した個人は献血を控えることを勧告した。
ガイダンスでは、献血場所と献血タイミングについて、ジカウイルス非感染地域では、以下の個人については、4週間献血を引き延ばすことを勧告している。これらの個人には過去4週間でジカウイルス感染が示唆されるような症状を発現した者、過去3か月の間にジカウイルス感染地域を訪問した者、あるいは滞在した者と性交渉を持った者、また、過去4週間に同ウイルス感染地域へ旅行した者が含まれる。
一方、ジカウイルス感染地域での輸血などについては、全血および成分輸血は感染のない米国内からの血液にすべきことを勧告している。しかし、血液センターなどは、FDA承認の病原菌除去装置を使用する血小板や血漿の採取は続行できるとしている。また、血液センターは、献血者にジカウイルス感染症の兆候や症状についての教育資材を更新することや感染の可能性のありそうな者には献血を控えるよう求めることを勧告している。
FDAのLuciana Borio科学最高責任者代理は、「FDAは、ジカウイルス感染症の発生に対しては重い責任を持っており、従来、速やかに必要な措置を講じてきた」と述べたうえで、「我々は米国での血液供給を守るために直ちに実施する、このガイダンスをまとめた」と話した。
FDAは、今日まで、米国で供給される輸血用血液にジカウイルスが混入したという報告はないとしながらも、同ウイルスやフラビウイルスの伝播方法や米国外での同ウイルスの輸血関連の報告などを考慮すると血液における感染の可能性に注意する必要があるとしている。また、ジカウイルス感染者の5人のうち4人は、症状が顕性化しないので、血液センターなどは今回のガイダンスに従って、個人からの献血を見送ってほしいと呼びかけている。
FDAのPeter Marks生物製剤評価研究センター長は、「今日入手できる最善のエビデンスに基づき、我々は、この新規の勧告が、ジカウイルス感染が疑われる献血者からの血液や成分献血を採取するリスクを減少させることに役立つ」とコメントした。