厚労・財務大臣折衝スタート 診療報酬本体プラス0.3%台 今週末から来週がヤマ場
公開日時 2015/12/17 03:51
16年度診療報酬改定をめぐり、塩崎恭久厚労相と麻生太郎財務相の1回目の大臣折衝が12月16日に行われた。塩崎恭久厚労相は折衝後記者団に対し、「経済財政諮問会議から一貫して訴えてきた地域包括ケアを構築していく診療報酬を構築すると申し上げた」とプラス改定に向けて決意を表明した。焦点の診療報酬改定の改定率については「今日は大きな話をした」と述べるにとどめた。財源についても明言を避け、2回目以降の折衝に意欲を示した。
厚労省側は2025年の高齢化のピークに照準を合わせた地域単位での医療提供体制の見直しに着手している。塩崎厚労相は、同日の大臣折衝で、16年度改定以降の地域医療の姿を目指した改革の方向性を示し、理解を求めた。また、この実現には医療関係者の協力も不可欠との認識で、今回の16年度改定もその一環であるとし、必要な改革を断行する考えを示している。こうした改革にはプラス改定は必須で、こうした背景から厚労省は0.3%台後半のプラス改定を目指している。
◎調剤報酬 20店舗に自民党議員から疑義
改定財源については次回以降の大臣折衝で詰めることになる。これまでに、厚労省の掲げる歳出抑制項目は、薬価等の通常改定分1400億円超に加え、C型肝炎治療薬など1000億円超の売り上げの薬価を下げる”特例再算定”、長期収載品の特例引き下げ(Z2)、後発医薬品の初収載時の0.5掛け(10品目を超える内用薬は0.4掛け)に加え、湿布薬や経腸栄養食品の適正化、協会けんぽへの補助金の抑制などを積み上げた。
“抜本的な見直し”を迫られた調剤報酬をめぐっては、20店舗以上の薬局を対象に調剤基本料の特例引下げが提案されている。大型門前薬局が問題視される中で切り込みを示した格好だが、同日午前に開かれた「自民党厚生労働部会・社会保障制度に関する特命委員会合同会議」では一部議員から疑義が示された。厚労省は、財務省との折衝と並行して、与党自民・公明両党との調整を今週中に行う。また、特例再算定の品目についても疑義を示す声が聞かれ、この状況によっては改定率に若干の影響を与える可能性もある。
そのほか、診療報酬以外の社会保障関連の予算編成をめぐる課題として、17年度以降の見直しが求められている高額療養費制度のあり方や、低所得者の高齢者に対して1人3万円を支給するための補正予算などが浮上してきた。予算編成全体の動きには不透明感も漂っている。改定率の最終決着にむけてのハードルもあり、今週末以降、厚労・財務の事務折衝を含めて調整が活発化する。