武田薬品 呼吸器疾患ポートフォリオをAZに売却 消化器、がん、CNS、代謝・循環器に特化
公開日時 2015/12/17 03:50
武田薬品は12月16日、呼吸器系疾患領域ポートフォリオを英アストラゼネカ(AZ)に5億7500万ドルで売却する契約を締結したと発表した。売却は2016年3月末までに完了する見込み。武田薬品は2014年に掲げた▽消化器系疾患▽がん▽中枢神経系疾患▽代謝性・循環器系疾患――の4つの重点疾患領域の新薬事業に経営資源を集中する。
売却するのは経口COPD治療薬のダクサス(一般名:ロフルミラスト、日本未発売・未開発)や吸入喘息治療薬オルベスコ(一般名:シクレソニド、日本では帝人ファーマが販売)などの製品のほか、呼吸器領域の前臨床試験段階にある7つの化合物を含む。ダクサスやオルベスコは、武田薬品が2011年にスイス・ナイコメッド社を買収した際に入手した製品。武田薬品広報部は本誌取材に、「今回の呼吸器疾患領域ポートフォリオの売却は主に欧州や新興国で影響があること」と説明し、日本市場への影響はほとんどないようだ。
ポートフォリオの売却に伴い、武田薬品の約200人の従業員がAZに移籍する。ただ、「日本市場での移籍はない」(武田薬品広報部)という。
武田薬品のクリストフ・ウェバー社長は呼吸器疾患領域ポートフォリオを売却する理由について、「AZ社は呼吸器系疾患領域において卓越した経験を有しており、必要な薬剤を必要な患者さんにお届けすることを最優先に取り組むことができるものと考えている」とコメント。武田薬品としては、4つの重点疾患領域でベスト・イン・クラスを目指して更なる取り組みを進めていくとしている。