米上院 高薬価のソバルディめぐりギリアドの薬価設定を問題視
公開日時 2015/12/16 03:50
米上院財政委員会(Finance Committee)は、ギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療薬Sovaldi(日本製品名:ソバルディ)の高薬価問題をめぐり調査報告書をまとめ、ギリアドの薬価設定など、企業としての姿勢を問題視した。米国では、かねてから連邦議会議員の間で高薬価への批判の声が聞かれていた。米一般紙「Washington Post」12月1日号および「Philadelphia Inquirer」12月2日号が報じた。
報告書は、ギリアドは利益を最大限見込めるよう価格設定を行い、「幅広くアクセスさせることを主としては考えに入れなかった」と断言し、ギリアドを批判した。
調査を担当したRon Wyden上院議員(民主党、オレゴン州選出)は、納税者の高薬価の薬剤コスト(負担)は持続可能ではないと指摘した。その上で、「ギリアドの価格付けの計算は研究費に関係なく決められ、人間への影響に関わらず、市場が負担するということにのみ基づいている」と批判した。
◎ソバルディ、ハーボニー 2剤で第3四半期までに1兆超の売上に
Sovaldiの薬価は1錠1000ドルで、1コース(12週間治療)で8万4000ドルである。Sovaldiに続いて発売されたHarvoni(日本製品名:ハーボニー配合錠)は、1治療コースで9万4500ドルなった。ギリアドは、2015年第1~第3四半期に米国ではこの2剤で101億ドル(約1兆2215億円)を売り上げた。
財政委員会のChuck Grassley議長(共和党、アイオワ州選出:同報告書共同著者)は、「より価格の透明化が図られ価格が下がり、アクセスが改善することを望む」と述べたうえで、「Sovaldiの場合、市場がうまく反応していない」と競争が適切でない点を指摘した。
ギリアドの広報担当Michele Rest氏は、同報告書の結論には同意しないとした上で、「責任を持って、かつ慎重にSovaldiとHarvoniの価格を設定した」と話している。同社のKevin Young上級副社長(事業展開担当)は、社内のメールで、2014年のアドボカシーの圧力には屈するなと呼びかけ、「たとえ競合社がどうしようともまた新聞の見出しがどうあろうとも我々のポジションを守ろう」と強い姿勢を示しているという。
Washington Post紙は、同社の社内文書では、保険者が患者アクセスを制限するような不愉快なレベルほど薬価は高くないとしており、株主の価値を考慮し、その適正なバランスをとったように思えると報じた。しかし、同社が得たものは、国民からのほとばしり出る怒り、政府や民間支払者からの反発そして政治的精査であり、それ以上のものとなったと指摘した。
ギリアドは、声明で、「価格は既存の標準治療に沿ったもの」としたうえで、同社は無保険者や金銭的に治療アクセスが困難な患者には支援プログラムを用意していることを明らかにしている。