田辺三菱・新中計 2020年度国内売上は3000億円の横ばい 糖尿病・腎領域の急成長折り込む
公開日時 2015/12/01 03:51
田辺三菱製薬は11月30日、2016年度~20年度までの5カ年の中期経営計画を発表した。国内医薬品事業は、予想される薬価改定、長期収載品の落ち込みを新薬・重点品の伸びで吸収し、最終年度は3000億円と横ばいを計画。関節リウマチなどに用いるレミケード、シンポニーなどの自己免疫領域は1000億円程度で維持しつつ、中枢神経領域の伸長に加え、現在数百億円弱とみられる糖尿病・腎領域を1000億円を視野に急成長させることで、国内の事業規模を維持する。国内は、糖尿病・腎領域の成長を加速させることがカギとなっている。国内MR数は現在の約1800人体制をほぼ維持し、重点領域などへの再配置を行うとしている。
同社は2015年度見込み(IFRSベース)では、売上高4110億円、コア営業利益880億円。新中計では、最終年度にはそれぞれ5000億円、1000億円を目指す。国内は3000億円とフラットを見込むことから、新中計は新たに着手する米国展開など海外事業を成長させ倍増させることで達成する形。
この中で国内事業は、「自己免疫」と「糖尿病・腎」を二大領域に、▽中枢神経▽ワクチンを加えて、4つの柱からなる。自己免疫領域は、バイオシミラーの参入で影響が避けられないレミケード(15年度見込677億円)の減収をシンポニー(同126億円)と、経口多発性硬化症治療薬イムセラ(同非開示)などでカバーし1000億円程度。
糖尿病・腎領域は「2020年代の早い時期に1000億円としていることから、2020年にはそのところには到達していないといけない」(常務執行役員の石崎芳昭営業本部長)としており、1000億円を視野に入れて成長の加速を図る。DPP-4阻害薬テネリア(15年度見込99億円)、SGLT2阻害薬カナグル(同非開示)の伸長を中心に、開発中の両剤の合剤「MT-2414」(フェーズ3)、糖尿病性腎症治療薬「MT-3995」(フェーズ2)の上市を成長に折り込む。
中枢神経領域は、SSRIレクサプロ(同104億円)に加え、統合失調症薬として16年度申請予定の「MP-214」の上市で伸長を図る。ワクチンは300億円強の現在の規模を維持する方針だとしている。
それらにより、国内売上の新薬・重点品割合を55%から75%まで引き上げ、新薬・重点品で収益を上げられる会社を目指す。
ジェネリック事業については、三津家正之社長は会見で、「現時点ではコアの事業ではない」と述べ、コストダウンなどを図りながら取り組むとし、積極的な投資もしないとの姿勢を示した。
■販管費120億円削減 MRは「積極的に減らすことはしない」
新中計では、業務生産性改革と称し、総額200億円のコスト削減を盛り込んだ。うち80億円は売上原価、120億円は販管費。販管費は全社の固定費をさらに見直す方針で、国内連結要員も約1200人削減し、5000人体制にする計画。MR数については、石崎営業本部長は「積極的に減らすことではなく、(重点領域などへの)再配置を考えていく」と述べ、1800人体制をほぼ維持する考えを示した。
要員削減と12月1日から募集を始める早期退職との関係について執行役員の田原永三経理財務部長は、「早期退職の規模は1200人よりは小さい」とし、定年など自然減を折り込んで実現可能な計画であると説明した。