武田薬品・15年度第2四半期 国内医療用薬4.0%減収 ブロプレス特許切れによる「最大インパクトは終えた」
公開日時 2015/11/02 03:52
武田薬品は10月30日、2016年3月期(15年度)第2四半期(4~9月)決算を発表し、国内の医療用医薬品売上は2720億円、前年同期比4.0%減だった。最主力品のARBブロプレスが売上313億円、前年同期比44.4%の大幅減だったことが響いた。後発医薬品の浸透による影響のほか、ブロプレス後継品のARBアジルバへのシフトが背景にある。ただ、クリストフ・ウェバー社長は同日に開いた決算会見で、ブロプレスの後発品シェアが数量ベースで約60%になっていることを引き合いに、「(ブロプレス後発品による)最も大きなインパクトは既に終わった」との認識を示し、今後はブロプレスの減収幅が緩和されつつ、新薬群の成長により、国内ビジネスも「再び成長軌道にのせることができると確信している」と述べた。
同社では“国内ナンバーワンのポジションの堅持”を掲げているが、国内業績は、ブロプレスや消化性潰瘍薬タケプロンをはじめとする長期収載品の売上減を新薬群の伸長で吸収できず、減収傾向が続いている。ナンバーワンポジションが堅持できるのかどうかについてウェバー社長は、「タケダが日本のリーディングカンパニーであるということを、私の頭の中では疑う余地はない」とし、「売上だけでなく、製品ポートフォリオ、研究開発投資・活動でナンバーワンポジションを維持していくつもりだ」と話した。具体策には言及しなかった。
■アジルバ、ロトリガが大きく伸長
国内の製品別の売上をみると、アジルバが売上286億円(前年同期比40.7%増)、ロトリガが105億円(111.4%増)と、これら2製品が大きく伸長した。抗リウマチ薬エンブレルや認知症薬レミニールなどの新薬も堅調に伸びた。タケプロン後継品で今年2月末に発売したタケキャブの売上は20億円だった。DPP-4阻害薬ネシーナは特許期間中にもかかわらず売上190億円(2.9%減)で、5月末に発売した国内初の週1回DPP-4阻害薬ザファテックに注力製品をシフトした可能性もありそうだ。ブロプレス、タケプロン、糖尿病薬ベイスン、同アクトスの長期収載品は20%以上の減収だった。
■潰瘍性大腸炎治療薬エンティビオ 売上20億ドル以上へ「非常に好調な立ち上がり」
連結業績は売上9040億4900万円(6.2%増)、営業利益1104億4900万円(5.4%減)、税引前利益1020億3900万円(9.8%減)、純利益559億8700万円(11.3%減)――の増収減益だった。
成長ドライバーと位置付ける▽消化器系疾患▽がん▽新興国事業――による合計成長率がプラス10%(為替影響などを除く実質ベースではプラス3.8%)だったことが増収理由。特に14年6月から各国で発売を始めた潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬エンティビオが前年同期から294億円増となる360億円を売り上げたことが大きかった。同社ではエンティビオのポテンシャルは「グローバルで売上20億ドル以上」としており、ウェバー社長は会見で、「非常に好調な立ち上がりだ」と述べた。利益面では、新製品の販売費や研究開発費の増加などにより減益となった。
【15年度中間期連結業績(前年同期比) 通期予想(前年同期比)】
売上高 9040億4900万円(6.2%増) 1兆8200億円(2.4%増)
営業利益 1104億4900万円(5.4%減) 1050億円(-)
純利益 543億8500万円(11.5%減) 680億円(-)
*純利益は親会社所有者帰属の数値
【15年度中間期のグローバル主要製品売上(前年同期実績)、億円】
ベルケイド 858(728)
リュープロレリン(国内製品名:リュープリン) 624(613)
パントプラゾール 519(506)
ランソプラゾール(同タケプロン) 475(501)
カンデサルタン(同ブロプレス) 447(725)
エンティビオ 360(65)
デクスラント 354(272)
アジルバ 286(203)
*通期予想は非開示
【15年度中間期の主要製品国内売上(前年同期実績)、億円】
ブロプレス※ 313(562)
アジルバ※ 286(203)
リュープリン 274(297)
タケプロン※ 219(275)
エンブレル 211(204)
ネシーナ※ 190(196)
ロトリガ 105(50)
ベクティビックス 95(92)
レミニール 79(64)
ベネット 50(53)
ベイスン 47(60)
アクトス 46(58)
ロゼレム 37 (32)
タケキャブ 20(-)
アドセトリス 16(13)
※配合剤などを含む
*通期予想は非開示