【World Topics】大気汚染は脳卒中リスク
公開日時 2015/06/05 03:50
たとえ短い時間でも、大気汚染にさらされると脳卒中のリスクが高くなる。 英国エジンバラ大学の研究者らが、世界28カ国、総計620万の入院症例に関するあわせて103本の研究論文を レビューした解析結果を発表した(オンライン英国医学雑誌)。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
”Short term exposure to air pollution and stroke : systematic review and meta-analysis”
2014年1月時点までに医学研究データベース(Medline, Embase, Global Health, Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature, Web of Science)に収録 されていた全論文から脳卒中と大気汚染にかかわる 研究を抽出・分析したもの。大気汚染が脳卒中を発症させるメカニズムは必ずしも明らかではないが、大気汚染が脳卒中発症と有意にかかわっていることは明らかだという。
脳卒中は一般に死亡原因の第二位とされ 、また予後に身体障害を引き起こす原因としては最大のもの である。 著者らは世界規模での環境政策、公衆衛生への取り組みがソリューションとしているが、大気汚染は個々人の努力では解決できないというだけでなく、世界各国それぞれの国内努力だけでも回避できないから、事態は深刻だ。大気汚染地域への出張や駐在は健康リスクであるとして労働者組合が問題にする日も遠くないかもしれない。